【今回は掲載した写真の都合により、酒場登録バージョンと、正規バージョンの2本をアップしております(違いは使用している写真のみ)。こちらは酒場登録バージョンですので、正規バージョンをお読みになっていただけた方は、読み飛ばしていただいて結構です。】
こんにちわ、こすもっこよ。
ステキな彼氏を探してアストルティアを…
違うの、今回はシリアス回なの。
まずは前回のおさらいよ。
【前回のあらすじ】
いつもの黄色いドワーフと、いつものノリで小ネタをやって、あとはオチつけたら終わり…ってとこでドワーフが血を吐いて倒れた!たいへんだー!
まぁ…今回に限っては前回分を読んでね!
さて、お話の続きを始めるわよ。
ピクリとも動かないドワーフに、何度も何度もザオをかけるこすもっこ。
そして何の手応えもないまま、10回目のザオをかけようとした時、それは起こった。
さっきまで晴天だった空が、嘘のように真っ暗になり、と同時に地面から大量の魔障が噴き出した。
魔障は一瞬で辺りを埋め尽くし、あたりの景色を一変させた。そして…
「う…うぉぉ…」
地中深くから響く…何者かが発する重低音。それは巨大生物の咆哮のようでもあり、また群衆のうめき声による大合唱のようにも聞こえた。少しでも気を抜けば、意識を持っていかれてしまいそうだ。
やがて魔障はひとつの塊となってゆき、それに伴い重低音は人の理解できる言葉へとなっていった。
「苦しい…憎い…」
あからさまな敵意を撒き散らしながら、徐々に形になっていく魔障。
冒険者としての本能がアレは危険だと警鐘を鳴らす。刀を抜いて立ち向かおうとしたその時、背後から声が聞こえた。
「生き…とるドワーフに…ザオかけ…ても意味ないが…なぁ」
もう聞くことができないと諦めていた声。目の前で確実に進みつつある絶望的な状況を一瞬忘れ、こすもっこは声の方に振り返った。
「はは…泣いとるん…か、オマエ…まだワシ生きと…るがな。まぁ、ゆーても…もうちょっとでホンマに…おだぶつかも…」
ドワーフとしては、いつものニヤケ顔を見せたつもりだろう。しかし、その顔は苦痛に歪み、またその目には生気を宿していない。
ドワーフ!もう話さなくていいから!生きてるってわかったから!後はワタシが!
「ワシな…あの魔障に…呪われた…みたい…や。アレを浄化…せん事には…な…」
わかったから!アナタは絶対にワタシが助けるから!でもワタシには魔障の浄化をするスキルがない。だから…もう少しだけ待ってて!助けを呼びに行って、すぐに帰ってくるから!
それまで死ぬんじゃないわよ!
「ふっ、ま、しょーが…ないな」
いつもなら切り捨ててしまうようなダジャレが、こすもっこにその真意を届ける。そして彼女は、こみ上げてくる感情をねじ伏せ、ニコリと微笑んだ後アビスジェルを天高く掲げたのであった。
…
「イルーシャ!助けて!」
こすもっこは転移先の部屋に駆け込むなりそう叫んだ。その、のっぴきならない様子に緊急を察し、イルーシャは冷静に状況の説明を求めた。そしてある程度の把握を得て、優しく言葉を発した。しかし…
「ごめん…それは…ワタシにはできない」
唯一の、そして最大の希望は、その本人によって打ち消された。