「コレ一休。
そちに相談があるのじゃ」
どえらいトコから始まるのね。
ちょっと待ってよ、一休さんなのね、ワタシ。
ハイ、着替えたわよ。
相談とやらをどうぞ、将軍様。
「うむ、実はな。ワシはカニが好きなんじゃが…。どうしても獲れんカニがあるのじゃ。それをどうしたものかとソチに相談でな。」
カニ…ねぇ
果肉園…果肉痛い…カニはこう書く…うん、なんとでもなりそうね。
「先に言っとくけど、ダジャレ禁止な。」
はぁ?この日誌を全否定するそれ!
そんなの無理に決まってるじゃない!
「それをなんとかするのが、一休さんやろがいい。」
トンチで決めたらんかい、って事ね。
いいわよ、ワタシも一休の名を継ぐ者。
渾身の一球を決めるわよ!
「コレ一休。早速ダジャレをゆーとるやないか。」
うるさいわね。
カニはトンチで決めたげるわよ。
あんまりごちゃごちゃ言うようなら、カニと偽ったサソリ食わせて食中毒にさせるわよ!
「さすがに(刺すカニ)それはやめてくれ」
あんたも言ってるじゃないのよ。
「さぁともかく、カニを獲って参れ!」
詳しく話を聞くと…
どーやらそのカニは、とある砂漠のお城、
その地下から行ける海辺にいるらしいのよ。
てな事で…浜辺に移動したわよ。
あ、コレね。
景色と一体化して、確カニ取れないわね。
どーしたもんカニ?
はっ!
どうしたのかしらワタシ!
いつもは言わないレベルの事言っちゃってる!
その時どこからか声が聞こえたの。
「ふふふ。ワシはカニじゃ。今オマエはワシの呪いにかかったのじゃ。」
え、呪い?
ゴフッ!
こすもっこの口から血がこぼれる。
ドサッ。
こすもっこは、薄れゆく意識の中、己が倒れる音を聞いた。
…
いやいやいや。
このパターン、前にやったでしょ?
しかも最近やったばかりよ!
だいたい、一休さんに「死ぬ話」なんてないわよ!
だーれも死なないし、だーれも傷つかない、それが一休さんよ!
ともかく、時間を巻き戻すわよ!
…
これがそのカニね。
景色と一体化して、確かに取れないわね。
「…」
どこかでカニの呆れるような声が聞こえたよーな気がしたけど、気のせいね。
あ、これアレか!
屏風の中の虎を見事捕らえてみせるので、まず屏風から虎を出してくれ、的な!それってことね!
さ、カニを召し取って見せるので、この岩からカニを剥がして頂戴!ドヤっ!
「これ一休。岩から剥がせたなら、そのカニを獲って調理するぐらい、ワシでもできるがな。ソチにはそのカニを岩から剥がすのを頼んだのじゃ。さぁ、獲ってみせよ!」
…
写真に…とるとかも…ダメそうねこりゃ。
「さぁ、一休!早く獲ってみせよ!ホレ、どうした一休?ん?降参か?」
…
「なんじゃーソチのトンチとやらも大したことがないのう。もはや一級品とは言えんの、明日からニ休と名乗ってはどうじゃ。」
…
「ん?なんじゃ?」
…
「コレ一休、怖い顔して近づいてくるでない!」
…
シャキーン。
ずんばらりーーーーーん。
ふぅ。
問題解決っと。
あら??
岩にへばりついていたカニさん。
ずんばらりーんにびっくりした勢いで、岩から剥がれたみたい。
仕方ない、将軍様の代わりに食べてあげようかな。
でも、よくみたらこのカニ…足めっちゃ細いわね…
これじゃ食べるとこなさそうね。
よし、3つに切って捨てちゃおう。ポイっ。
ふふふ。
足から…よし、3つに切って捨てる。
あしからよしみっつ切って捨てる。
足利義満切って捨てる。
ふふふ。
え、一休さんでは誰も死なない??
知らないわよそんなの。
さ、旅に出よっと。
おしまい