『闇騎士物語』 (3/10)
魔物から人々を守る闇騎士。
その正体に、みんなが気がつきはじめた。
王妃譲りの美しい銀髪。
鈴音のような可憐な声。
頬にある闇騎士の紋章。
1年前に失踪した…カシア姫だと。
カシアから離れた親しい者達は後悔した。
今更、自分達が話しかけていいのかと。
そして…昔から伝わる闇騎士の存在を、まだ恐れていた。
国民達も同様だった。
感謝するも、狂戦士のような戦いぶりを恐れた。
何より、他人を突き放すような態度のカシアに、近寄れなかった。
復讐の鬼と化したアルバナム王は、気づかなかった。
1番会いたかったはずの娘に。
流れ者のおかげで、魔物の被害がなんとかなる。
多くの兵士達を戦場へ送れる。
それしか頭になかったのだ。
流れ者に騎士の位を授け、魔物と戦わせる事にした。
感謝されるも孤独な闇騎士。
何の為に戻ってきたか?
カシアは語らない。
ただ、魔物を倒すだけ。
そんな彼女に、声をかける人物が現れた。
アルバナム王国の兵士シャルである。