『闇騎士物語』 (5/10)
シャルは、代々続く花屋の息子として生まれた。
しかし、花屋なんてカッコ悪いと思っていた。
継ぎたくなんてない!
そう叫んで家を飛び出し、アルバナム王国の兵士になった。
いつか強くなって、物語の英雄みたくなりたいと夢見ていた。
現実は甘くなかったが…。
毎日厳しい訓練に、命がけの魔物討伐。
もう実家に帰ろうかなーと弱音を吐いた。
そんなある日、運命の出会いをした。
城の警備兵に配属され、初めてカシア姫を見た。
一目惚れだった。
恋に落ちた。シャルの初恋である。
でも、相手は王族。平民の自分とでは身分が違う。
叶わない恋。
だから、せめて傍で守ろうと誓った。
姫の為に訓練を励んでいた時…
「ご苦労様です。頑張って下さいね。」
と、姫に声をかけられた。
シャルは嬉しさのあまり気絶した!
頑張ってから、多くの友人が出来た。
最近では、水の賢者と名乗る変わり者だったが、色々な事を知っていた。
それから数ヶ月後、カシアに闇騎士の紋章が発現した。
シャルは悩んだ。
心配だったが、兵士如きが声をかけていいものかと…。
やっと決心がついた日、姫は失踪していた。
己の弱さを悔いた。
もっと早くに声をかけていれば、失踪しなかったかもしれない。
シャルはより一層訓練に励んだ。
彼女が戻ってきた時、今度こそ守れるように。