『闇騎士物語』 (6/10)
闇騎士の紋章は呪いである。
倒された魔王が英雄にかけた呪い。
『人間を殺し続けないと魔物になってしまう』
英雄が死んでも誰かに移動する。
闇騎士が魔物となった時、新たな魔王となるのだ。
英雄の相棒だった闇の精霊は、呪いを解こうとした。
しかし、魔王の呪いは強く、解くことは不可能だった。
全ての力を使っても、呪いの内容を僅かに変更できただけ。
『魔物を殺し続けないと魔物になってしまう』
カシアは闇の精霊から、全てを聞いた。
そして、魔王にならない為に、魔物を倒す力を求めた。
かつて、剣聖と呼ばれた老人に弟子入りする。
どんな過酷な修行にも耐え、たった3ヶ月で老人を超えた。
皮肉な事に、カシアには剣の才能があったのだ。
それから、魔物を斬って斬って斬って斬って斬って斬った。
人々を守る為ではない。自分の為に。
もはやその姿は、闇騎士そのものだった。
闇騎士の紋章…魔王の呪いから解放される方法は…死ぬこと。
魔王にならない為に戦い続ける。
死が訪れるまで。
それが闇騎士の宿命だった。