アクアの冒険日誌

５月某日

　カゲむしゃがプレゼントを持って立っていた。
　駅で買った手土産かと思ったが、様子が違う。
　箱を開けると、うさぎのぬいぐるみが入っていた。
　カゲむしゃが、もじもじと説明をする。
　自分が大切にしているぬいぐるみに似せて作ったから
　受け取ってほしい、と。
　カゲむしゃは、やはり可愛い。
　すぐに部屋に飾った。
（　写真はイメージです　）



５月某日

　家に帰ると、カゲむしゃがくれたぬいぐるみ、ピョンシェルジュが目に入る。
　違和感がある。
　カゲむしゃには悪いが、はっきり言ってしまえば
　ピョンシェルジュは私の好みではない。
　目立つ糸目や、欠けた耳が、どうにも好きになれない。



５月某日

　家に帰る度に目にはいるピョンシェルジュに我慢ができなくなった。
　ピョンシェルジュを二階に移動させる。



５月２６日

　バージョンアップがあった。
　仕事疲れで、何も出来そうにない。



５月２７日

　カゲむしゃに庭の管理をしてもらうことにした。
　暖かい日差しに、カゲむしゃも嬉しそうだ。
　コンシェルジュが庭に出られるのは良いシステムだ。



５月３１日

　エステラさんに新しいぬいぐるみを頼まれた。
　今、家の中にカゲむしゃはいない、見ていない。
　二階にポツンと置かれたピョンシェルジュを鞄に入れる。
　エステラさんは戸惑いながらも、それを受け取ってくれた。



６月１日

　昨日から、カゲむしゃが私を無視する。
　帰宅しても、何かしら別の用事をして、私を出迎えてはくれない。
　心細る。



６月２日

　カゲむしゃのことが気掛かりで、何かと手につかない。
　何度目かの自宅ルーラの末、
　ついにカゲむしゃが出迎えの言葉を言ってくれた。



６月４日

　カゲむしゃが庭先で寝ていた。
　直感で「これはたぬき寝入りだ」と思った。
　以前は思わなかった、そんな考えが悲しい。
　私はカゲむしゃを起こした。
　カゲむしゃは普段通り、私に挨拶をした。



６月５日

　カゲむしゃが庭先で本を読んでいた。
　直感で「これは読んでいるフリだ」と思った。
　以前は思わなかった、そんな考えが悲しい。
　私はカゲむしゃに話しかけた。
　カゲむしゃは普段通り、私に挨拶をした。
　心もとない。



６月６日

　名案が浮かぶ。
　エステラさんに新しいぬいぐるみを渡し、棚を変えた。
　棚の写真を撮り、部屋に飾る。
　写真立ての前にカゲむしゃを呼び、説明をした。
　せっかくの作品だから展覧会に出してみたの、
　中央で一番輝いているでしょ？、と。　
　カゲむしゃが庭に戻ったことを確認してから出掛けた。
　出迎えてくれることを願いつつ、帰宅する。
　カゲむしゃは、あの日以来、初めて編み物をしていた。