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この日誌は、私のコンシェルジュ「カゲむしゃ」の記憶らしいプクよ。
真偽の程は、与り知らぬプクよー。
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いままでだって村の外をお散歩することは、たまにあったの。
村の周りにはスライムがたくさんいて、
私はその中の一匹と気が合って、友だちになってたんだー。
旅立つ前に、そのスライムにお別れを言いに行ったの。
まずはオルフェアの町へ行くのと言うと、すごく心配されてね。
他のスライムたちも集まってきて、みんなが口をそろえて危ないって言うんだー。
町までの道中、私の知らないモンスターが大勢いるんだって。
薬草を持っているから大丈夫だよ、って説明しても
それを使う前に君は気絶しちゃうだろうから、大丈夫じゃあないって言うの。。。
それでね、友だちのスライムが町まで一緒に旅をしてくれることになったんだー。
実は町までの道をよく知らなかったから、助かったよー。
道すがら、本当に私の知らないモンスターがいっぱい。
スライムがそのモンスターたちと挨拶をしてて、びっくりだよー。
私のことも紹介してくれて、今後私が通りかかっても
そっとしておいて、ってお願いしてくれたの。
スライムと一緒に旅が出来てよかったよー。
随分と歩いて、湿原を通って、また同じくらい歩いた頃。
テントが見えたの。
「ピィピのお宿だよ」 ってスライムが教えてくれたよ。
慣れない旅ですっかり疲れちゃったから、泊めてもらうことにしたの。
だけどね、この時に初めて知ったんだけど、
モンスターにはベッドを用意してもらえないんだって。。。
スライムは私のために色々としてくれたのに、申し訳なくって。。。
私も泊まるのを止めようとしたんだけど、
スライムはベッドよりも芝生の上の方が落ち着くから
君はしっかり休んでね、って言ってくれたの。
クタクタだった私は、その言葉に甘えさせてもらったんだー。
プクレット村以外で迎える初めての朝。
テントから出て青い青い空を見上げた時、すごく勇気が沸いたの。
私は新しい世界にいるんだ、って。
私の居場所は絶対に見つかるんだ、って!
世界は明るいの!
道なりに歩くだけ。
ただそれだけなのに、楽しいの。
全部が真新しくて。
スライムは道を蹴って跳ねて、
私も時々真似をして思いっきりジャンプするんだー。
今、世界はとっても優しいんだよー。
しばらく歩くと、突然スライムが立ち止まったの。
崖に囲まれた道の前。
スライムは、いつもの「ぷるぷる」ではなくて、「ブルブル」と震え始めたんだ。
首を傾げる私に、スライムはこう言ったの。
「 この向こうに ナイトがいるよ 」
ナイトって?
つづく。