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この日誌は、私のコンシェルジュ「カゲむしゃ」の記憶らしいプクよ。
真偽の程は、与り知らぬプクよー。
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崖に囲まれたこの道に、スライムを震えさせる「ナイト」がいるみたい。
なるべく怖いことはしたくないから、回り道をしようよ、って言ったんだー。
だけどね、オルフェアの町に行くには、どうしてもこの道を通らなきゃいけないみたい。
それに、ここで迷っていることを知られると、後々困ることになるんだってー。
モンスター種であるスライムがいてくれる限り、戦いになることは、まずないの。
その点は安心なんだけど、スライムは何を心配しているのかな。
聞いてみたんだけどねー。
スライムべスと仲良くするのにはスライムナイトの許可がいるみたいで、
反対派のキングスライムと賛成派のクイーンスライムの関係がどうの、って。。。
つまり、私にはよく理解出来なかったよー。
スライム間にも、複雑なスライム関係があるみたいー。
あ、「ナイト」はスライムナイトのことなんだって。
意を決したスライムはゆっくりと道を進んで行ったの。
そして、少しの間、二匹だけで話をしていたの。
スライムは「面接」って言ってたよー。
少し離れた場所で見ていた私には、内容までは分からなかったんだけど、
時々スライムナイトが私の方を見ながら話していたよー。
話が終わったからもう通っても大丈夫、という合図をもらってから、
私はどきどきしながら崖に囲まれた道を通り抜けたの。
この道を抜けてからの道程は、清々しいものだったよー。
ピィピのお宿を越えたあたりから、景色は変わっていたのー。
今まで当たり前のように沢山生えていた草は減り、
見たことのない樹木が、ところどころにあるの。
この空の向こうに、新しい世界が待ってるんだ。
歩いていると、突然スライムが走り出したの。
慌てて私もついて行くと、オレンジ色のスライムがたくさんいたんだよ。
見るのは初めてだけど、きっとこの子たちがスライムベスだと思うんだー。
スライムはその中の一匹を見つけて、その子の前に立ってたの。
スライムがポワワーンと揺れて、私には分からない独特の方法で
スライムベスと会話を始めたんだ。
今まで見たことのないスライムの様子にびっくりして、
私はじっと2匹を見ていたの。
スライムべスも時々ポワワーンと揺れてて、
何となく会話が弾んでいるように見えたよー。
しばらく見ていると、視線に気づいたスライムが、スライムベスを紹介してくれたの。
「 ぼくの ともだちなんだ 」
スライムが照れているように見えたのはどうしてかな。
私も挨拶を済ませると、スライムは大きく息を吸って、こういったの。
「 おめでとう むこうに見える門をくぐれば オルフェアの町だよ 」
!
スライムの示す方向を見ると。
着いたんだ、オルフェアに。
何度も何度もスライムにお礼を言って、また会おうねと約束をしてから
私は門に向けて歩き出したの。
スライムとスライムベスが、並んで私を見送ってくれたよ。
つづく。