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この日誌は、私のコンシェルジュ「カゲむしゃ」の記憶らしいプクよ。
真偽の程は、与り知らぬプクよー。
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オルフェアの門をくぐると、そこは新世界だったの。
大きなトランペット。
お菓子の家に大きな風船。
石を敷き詰めて舗装してある道。
その道を歩くと、お菓子の橋まであるの!
めまいがしそうだよー。
周りのどこを見ても、私の知り合いはいない。
プクレット村では全員が顔見知りで、どこにいても誰かと繋がっていたの。
だけど私は今、一人っきりなんだー。
大勢の知らない人たちに酔ってしまったみたい。
今日はもう、宿で休むことにするよー。
当面の間この町に留まるつもりだから今日はしっかりと休んで、
明日、何か仕事を探そうと思ってるんだー。
宿屋は繁盛してて、お店の人たちはみんな忙しそうに動いていたの。
私は案内してもらったベッドに横になると、溜まった疲れを感じる前に眠っていたよー。
翌日。
仕事を探しに、情報収集の本場、酒場へ行ったの。
初めて行く酒場は暗くて、何か秘密のにおいがしたよー。
壁一面に色んな依頼書が貼り付けてあってね、
その中から受けたいものを探して、店員さんに言えば仕事を受けられるみたい。
私に出来る簡単な依頼がたくさんあるといいなー。
私、甘かったみたい。。。
貼ってある依頼書の内容って、全部モンスターの討伐依頼なの。。。
私、戦えないよー。
薬草は持ってるけど、武器は持ってないもん。
使い方も知らないし。
困ったよー。
どうすればいいのかなぁ。
外のカフェで俯いていると、向かいの席に誰かが座ったの。
「 そんな暗い顔をして どうしたの? 」
顔を上げると知らない人が、心配気な表情で私を見ていたんだ。
信用しても良さそうな顔の人だったから、今の状況を相談したの。
この町に留まりたいけど、自分に合った仕事を見つけられなくて困っている、ってね。
私のこんな状況を聞いても、その人は笑ったりせずに
真剣に話を聞いてくれたんだー。
そして、最後に一言、こう言ったの。
「 それなら宿屋の人に 相談するといいよ 」
宿屋の人? どうして?
そう思ったけど、その人の目は真面目だったから、
私はその通りにしてみようと、頷いたの。
半信半疑で宿屋の受付で働き口に心当たりがないか、聞いてみたんだー。
受付の人は突然、目を輝かせたの。
私の手をとって
「 人が足りないんだ! 君もここで働いて! 」
と言ったの。
自分が戦いに向いていないことや、
特別な芸が出来るわけではないことを正直に話しても
大丈夫だよ、と言ってくれたんだー。
私、働く場所を見つけたよー。
この町で過ごすことが出来そう。
がんばるぞー。
つづく。