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この日誌は、私のコンシェルジュ「カゲむしゃ」の記憶らしいプクよ。
真偽の程は、与り知らぬプクよー。
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宿屋での仕事を始めてから、もう数か月。
私、立派に働いているんだよー。
えへん。
新しい友だちも出来たし、自分が町に馴染んでいくのが分かるの。
もうこの町は私の第二のふるさとだよー。
ここでのお仕事は私に合っているみたいで、毎日が楽しいんだー。
誰かのお世話をして快適に過ごしてもらえると、私も嬉しいの。
評判だって、いいみたいなんだよー。
よく頑張ってるね、って何度も褒められるの。
えへん。
午前はお掃除と洗濯の時間なんだよー。
それが終わると、のんびりとランチをして、
お昼寝から覚めたら、夕飯や常備食の用意をするの。
ランチは一緒に働いている仲間たちと食べることが多いんだよ。
色んな話で盛り上がるんだー。
私たちの雇い主は、世界宿屋協会ってところなの。
今日はその協会に新しく出来る予定のシステムの話題で持ち切りだよー。
「旅のコンシェルジュ」の個人宅版なんだってー。
最近では私も時々だけど、宿屋で旅のコンシェルジュをさせてもらっているの。
だから希望を出せば、私も個人宅コンシェルジュになれるみたい。
だけどね、今のお仕事が気に入っているから、希望を出すつもりはないんだー。
数日後。
休憩室の机にファイルが置いてあったの。
こないだ話していた個人宅コンシェルジュのファイルみたい。
それはコンシェルジュを募集している家主情報のファイルで、
この中から「この家のコンシェルジュをやりたい」と思ったら、
家主さんに自分のプロモーションカードを送ってもらうんだって。
その家主さんが何人分かのカードを見て、気に入った人がいれば
個人宅コンシェルジュとして派遣されることが決まるみたいだよ。
私たちも家主さんも両方ともが気に入った時だけ、契約になるってことだねー。
ちょうど手持ち無沙汰だったから、何となくファイルを手に取って
パラパラとめくったの。
あれ?
今、何か・・・。
通り過ぎたページに何かひっかかるものを感じて、もう一度、
今度はゆっくりと写真付きのそのページをめくったの。
あ。。。
少しの間、息が止まったかも。
アクアだ。
間違いないよ、アクアだ!
ほら!
アクアがいる!
私は居ても立っても居られなくって、外に走り出たの。
まさか、またアクアに会える?
アクアに!
裏通りの入り口まで走った。
この向こうにいる!
つづく。