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この日誌は、私のコンシェルジュ「カゲむしゃ」の記憶らしいプクよ。
真偽の程は、与り知らぬプクよー。
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こっそりと家に通う内に、私はだんだんとアクアについて詳しくなっていったの。
容姿・性格から友人たちに至るまで。
私ね、決めたよ。
アクアの家のコンシェルジュになる!
目標が出来たら、その途端に忙しくなったよー。
まずはアクアに選んでもらわないといけないからねー。
選んでもらうには、やっぱり目に留まらなきゃいけないと思うの。
ひと目で気に入ってもらわなきゃ。
少し前から仲間内の間で話題のイベントが今度あるんだー。
都から美容師さんが来て、自分のなりたい容姿にしてもらえるんだって。
世界宿屋協会からの従業員サービスみたい。
その話があった時から、おぼろげに考えていたの。
アクアのような姿になりたいなー、ってねー。
同じ容姿なら、きっと目に留まるよね?
アクアは私を選んでくれるよね?
アクアと同じ顔になるって、どんな気分なんだろー。
よーし、アクアと同じにするよー。
楽しみだー。
イベントの当日。
カーテンの向こうから見違える姿になって戻ってくる仲間たちを見ながら、
自分の順番がくるのをじっと待ったの。
もうすぐ私はアクアと同じになるんだー。
ついに順番が回ってきて、期待いっぱいでカーテンの向こうに入ったよ。
カタログを渡されて、この中からそれぞれのパーツを選ぶように言われたの。
迷うことなく、全部選べたよー。
手慣れた美容師さんの施術はすごく早くて、私はあっという間に変わったの!
今この時から、まるで別の私になったみたいー。
鏡を見ると、アクアがいるみたい。
私、アクアに近づいてるよー。
そろそろ時期が来たと思うの。
アクアに私を紹介する時期が。
申し込み用紙に記入して、写真と一緒に世界宿屋協会に出せばいいんだー。
書くことは三つだけ。
名前、特技、趣味。
特技・・・お掃除
趣味・・・お昼寝
名前・・・・・・
世界宿屋協会の人に言われたの。
名前は新しく付けなさい、って。
基本的に、個人宅コンシェルジュの名前は雇い主がつけてくれるんだー。
だから申込用紙に書く名前では呼ばれないことが多いみたい。
今までの名前をそのまま書くと、
その名前を否定されちゃうように感じてしまう子が多いんだってー。
それで名前を変えられても問題ないように、新しい名前を付けなさい、って。
名前・・・どうしようかなー。
鏡を見ると、まるでアクアがいるみたい。
アクアと同じ顔。
アクアの目に留まる名前は・・・。
私、決めたよー。
「 カゲむしゃ 」
申込用紙にそう記入して、用意しておいた写真を付けたの。
これで後は選ばれることを祈るだけ!
最終話につづく。