こんにちは、私はスライムです。
プクリポのアクアさんにスカウトされてから、彼女と一緒に過ごしている者です。
プルプル。
名前はプルートです、よろしくお願いします。
マイタウンというシステムが出来ると聞きました。
それを聞いた時のアクアさんは、とても喜んでいたのです。
高価なもので、自分で購入することは出来そうにないのですが、
余裕のあるご友人が購入したタウンの一角に住み込むつもりのようでした。
ところが先日、マイタウンが1キャラクターのみのタウンである旨の発表があったのです。
それを聞いた時のアクアさんは、とてもガッカリとしていました。
私は彼女の仲魔として、何とかしてあげたいと思っていたのです。
暗くジメジメとした崩れ落ちそうな屋敷の話を聞いたのは、そんな折でした。
そのような屋敷にはお宝が隠されていることが多いと聞きます。
もしかすると、マイタウンの権利書も隠されているかもしれません。
私はすぐにでも探しに行きたかったのですが、屋敷までの道のりを知りませんでした。
この度、その屋敷へ行く方法があるとの情報を掴んだのです。
私はアクアさんのために、マイタウン権利書を探しに屋敷へ行くことに決めました。
プルプル。
屋敷の敷地へ入ると、早々に私を呼ぶ声がしました。
おいで、おいで、と。
声のする方向へ向かうと、そこには
井戸のフタを持ち上げて手招きをする、腐りかけた人がいました。
なるほど、井戸の底に権利書が落ちているのかもしれません。
私は近づきました。
すると、腐りかけた人はバタンと井戸のフタを閉じて、中に隠れてしまったのです。
プルプル。
いくら呼びかけても反応がありません。
仕方なく井戸から離れると、再び「 おいで おいで 」と声がしました。
振りむくと腐りかけた人がフタの隙間からまた顔を覗かせていました。
ところが近寄ると、また隠れてしまいます。
何度か離れては近寄る、を繰り返したのですが、
腐りかけた人と意思の疎通をはかることはできませんでした。
井戸の底は諦めて、他へ向かうことにします。
井戸から離れ、庭の探索をすることにしました。
歩いていると、何か不思議なプルプルとした感覚に引き寄せられ
一本の木の側までやって来たのです。
仲間に呼び寄せられているかのようでした。
ぷるぷる、と。
自分の感覚に従って上を向くと、そこには
木の枝から、ロープで縛られたコンニャクがぶら下がっていました。
プルプル。
これは罠・・・です!
スライムである私をおびき寄せるための・・・!
私は警戒して、辺りを注意深く見回しました。
すると、木にクギで打ち付けられたワラ人形があるではありませんか。
「 ! 」
私はコンニャク以上にプルプルと震えあがりました。
これは警告に違いありません。
何者かが、権利書を求める私を止めようとしているに違いありません。
その場から急いで離れ、屋敷の横を歩いていると突然、家の下で何かが光りました。
何でしょうかと廊下の下をじっと見ると、パッとソレは光ったのです。
この時の驚きを、どのように表現すればよいでしょうか。
叫ぶことも、逃げることも、すぐには出来ませんでした。
プルプル。
この屋敷には何かある・・・。
スライムにとって良くない何かが・・・。
地面に飛び散った得体の知れない液体に心を乱されながら、
どうにか床下の影が見えない場所まで走りました。
すぐにも帰ることが出来ましたし、
そうするべきだと心のどこかで分かっていたのですが、気掛かりがありました。
あの影たちの上。
つまり屋敷の中に、ただならぬ気配を感じていたのです。
私は確かめずにはいられませんでした。
アクアさんから教わった勇気を振り絞り、私は屋敷の中へ潜入したのです。
いくつかの説明がつかない怪奇現象を目にしながらも、
私はあの影たちの真上にあたる場所へ続く扉を発見しました。
横開きの障子の扉。
私は思い切りよく開けました。
そこに何がいたのか。
地面に散った得体の知れない液体は何なのか。
それを記すことは、私には出来ません。
プルプル。
何かよくないことが起こりそうな予感がするからです。
私の身の上だけでなく、アクアさんにも危険が及ぶかもしれません。
仲魔として、彼女を危ない目にあわせるわけにはいきません。
どうしても知りたい人は、自分の目で確認するといいでしょう。
この後、私はすぐさま屋敷から出て、
大急ぎでスライム用ルーラストーンを使い、牧場へ戻りました。
牧場ではいつもの仲魔たちが平和に過ごしていて、ほっとしました。
アクアさんがいつもの調子で
「 あれー? どこに行ってたのー? 」
と聞いてきたので少し迷ったのですが、こう答えました。
ただのお散歩ですよ。