ただし、シナリオの評価は4.4以降は賛否両論となっています。まず、4.4の舞台は中世ファンタジーというドラクエのイメージを真正面からぶっ壊したSF的世界観。5000年前は魔法の王国だったのに、1000年後には機械文明なのか?という疑問が残ります。あと、「時渡りによる時間干渉」を循環的に認めてしまったせいで、全ては過去を改変すれば良い(=未来の自分が時渡りしたから、現在そうなっているだけ)という予定調和に陥ってしまっている可能性があるんです。そのあたりの描写が根本的に足りていません。
話の結末もVer.3に比べて人を選ぶ展開になりました。とにかく救われなさすぎ。これに尽きる。エテーネ王国の滅亡こそ防げたものの、ファラスもクオードもパドレも死に、王国自体のタイムワープというタイムパラドックスの塊になりそうな事象をも起こしてしまいました。
私は別にドラクエにハッピーエンドを求めているわけではないので、こういうほろ苦い終わり方も悪くはない…というか好物なんですけど、どうしても大団円というわけにはいかなかったので評価は分かれてましたね。
同時に、足早にエンディングまで持っていったせいで尻切れトンボ感が強まってしまい、エピローグクエスト群をやって初めて一区切りつくといった感じなのもマイナス点です。(これに限らずVer.4はサブクエストで補完される内容がVer.3までに比べて非常に多い)
結論をいいますと、私はVer.4大好きマンです。複雑な設定を考察で紐解いていくのは本当に楽しかったですし、雰囲気も特に4.0は良かった。
しかし、この内容が万人受けするのかというとかなり微妙で、Ver.3とは逆に後半の失速が惜しかったかな〜とも思いました。アストルティア創世記必携なのも相変わらずだし。
そういう意味でVer.5は話がいくらかシンプルになり、純粋に物語として楽しみやすい構成になっています。
気付いている方もいると思いますが、Ver.5はVer.2以来久しぶりに「バージョンごとの区切りが薄い」ストーリー構成をしています。Ver.3,4は世界がバージョンごとに完全に区切られていましたが、Ver.5は全体で「魔界」であり、徐々にフィールドが拡張されていく感じになっているわけです。
これによって話の単調さがVer.4から更に軽減された一方、前後の関連性が強いせいでバージョンごとの評価が難しくなってもいます。要は「最後まで見ないと何も言えない」。
伏線回収に関しては驚きの連続でしたね。Ver.4ではあまり進展がなかった兄弟姉妹関連が大きく前進し、賢者マリーンや旅芸人ピュージュといったVer.1時代のキャラの再登場で、いよいよクライマックスという高揚感を見事に演出しています。
一方、個人的には描写の問題点もVer.4から加速している感じがしました。特に前線に出されたり出されなかったりした魔界対戦、何故か死んだナジーン、支配欲の塊として描かれていたエルガドーラの謎の自爆、存在意義が疑わしいペペロゴーラ等があった5.1は特に変な点が多かったですね(エルガドーラに関しては5.2でちゃんと説明が成されました。こういうところが「最後まで見ないと分からん」たる所以)。
フィールドは全編に渡って魔界という、非常に挑戦的な内容。写真スポットは無さそうで沢山あるし、広さ、探検感共にVer.2に迫るクオリティでしたね。魔界という舞台自体は個人的にはあまり好みではない(どっちかというとノスタルジックな4.0の世界観が好物)のですが、
DQ10の魔界はそういう自分の好き嫌い関係なく楽しませてくれる内容でした。
まぁ、まだ完結していませんがね!ラストにも期待します。
以上が私のストーリー評価です。
個人的な好みはVer.4>Ver.2≧Ver.5>Ver.3=Ver.1。
ただしVer.1でも十分面白いということは言っときます。
ここまで見てくれた方はありがとうございました。