ここからはもう少しDQ10より外に目を向けてみましょう。
☆過去曲を含めてもBGMが非常に少ない現状について
スクエニはFF11、FF14、DQ10の3つのMMOをコンシューマー機向けに開発したわけですが、その中でもDQ10のBGMの少なさは深刻な問題点の一つです。
まずFF11はメジャーアップデート終了までの13年間で拡張5つとサントラCD10枚分を発売し、曲数は合計で232曲(ただし、プレイオンラインの曲は除く)となりました。
一方FF14は現在サービス8年目(根性版含めると11年目)で、拡張3種、サントラは7種発売済。曲数は収録被りを除いても脅威の500曲超え。
これはMMOとしても多い…というかBGM数でギネス記録を保持しているので比較対象にするのはちょっとアレですが、BGMという観点に限って言えば同じスクエニの看板MMOとして、DQ10とFF14との間に大きな格差があることは認識すべきでしょう。
以上のことを踏まえて、DQ10の楽曲数は130曲ちょい(しかも過去曲含めて)というのは非常に少ないのが分かります。
思えばレグナードからガルドドンまで全部同じBGMっていうのはなかなかヤバイね、、
というわけで最後にドラクエシリーズの根源的な問いを提示しましょう。
☆ドラクエのBGMはすぎやま氏であり続けるべきか?
ドラクエ三銃士の1角たるすぎやまこういち氏ですが、現在は89歳という高齢になり今後シリーズに新曲を提供し続けられるのか不安視されていますね。最新作のDQ11では結構な数を作曲されていましたが、それでも過去曲リサイクルを払拭することは出来ず、一部で批判が出る結果となりました。
ドラクエのBGM使い回しはDQ8の時代(2004年)あたりから見え隠れし、DQMシリーズではジョーカー以降流用が増え始め、ヒーローズ以降の外伝作品では逆に新曲が殆ど消滅するという事態に陥っています。「昔の曲が聞けて懐かしい」という擁護意見も十分理解出来ますが、正直私の世代(10代)だと「またこれか」と思うことの方が多い。皆さんはどう考えますか?
…実はドラクエシリーズで作曲者がすぎやま氏ではない作品があります。「ドラゴンクエストソード(2007/Wii)」です。氏は必ずゲームのテストプレイを行ってから作曲をするそうなので、Wiiリモコンを振り回す作風で作曲を行うのは難しいと判断したからですね。
作曲者は氏が直接指名した方ではありますが、曲調はドラクエっぽくないものが多くなりました。「天空の階段」とか「タイムオブミラー」はまさにそう。
やはり中世ヨーロッパっぽさを基調にしつつどこか文化的親近感を覚える作風はすぎやま氏ならではだとは思いますが、シリーズ存続においてこの作風を出来る限り再現するのか、FF7の時のようにガラリと方針転換を行うのか、まさに今がドラクエ10のみならずシリーズ全体の分かれ目となっているように思えます。
※2021年10月7日追記
すぎやま氏がご逝去なされました。ご冥福をお祈りします。
氏の逝去によってこの問題はより浮彫りになりました。
DQ10だけでなく、外伝含む多数のドラクエ作品が過去作のリソースを使いまわし、新たな曲を生み出せない状態が続けば、ドラクエというブランドは緩やかに死にゆきます。
そうならないためにはどうするべきか?私たちでも考えられることはあるはずです。