9月19日のDQX生放送で実装予定とされた「覚醒の鬼神石」、これが大きな波紋を呼んでいる。効果内容は公式や個人ブログなどで詳細に説明されているのでここでは割愛させてもらうが、要は課金で所謂「神ベルト」を作れるようになったということである。
戦闘や育成に関する課金要素はこれまでも存在してきたが、今回の課金ベルトは趣が異なる。つまるところ、これまで本来年単位、数百時間かけて漸く入手できるかという水準だったレアアイテムを7000円程度で入手出来てしまう、「ゲーム内での努力」<「課金要素」の構図になってしまったことが、一番の問題とされる。
この問題に関しての私の意見は以下の2つとほぼ同じなので、(文字数の関係もあって)申し訳無いのだがこれらを読んだ前提で議論を展開する。
・みみっくほし氏のブログ『ベルト課金問題について』(https://mimichoshi.com/blog/archives/pay-to-win-belt.html#toc7)
・ナツキ氏のX
https://twitter.com/natsuki50509999/status/1704555645763236013
今回の課金ベルトは先のブログに記載されている通り「本来天文学的だった確率に干渉した」ことが一番の懸念点である。
議論したいのはこういった「Pay to Win」に寄った課金要素の増加の是非だ。そもそも、Pay to Winには程度があり、(ナツキ氏の投稿https://twitter.com/natsuki50509999/status/1704774705063117264が分かりやすい)これまで時短程度で済んでいたものがよりソシャゲの課金の形態に近付いたことで、本作にどんな問題が発生しうるかを考察する。
・運営の発言の矛盾
TVでの青山氏の発言は、「今後も長く続けるために、プレイヤーの先頭の人と新規・復帰する人の差が開き、普通だと追いつくのが大変。追いつきやすくするための課金。ゲーム内で出来ることを時短できるという感じ。今回もそのバリエーションを増やしたいと思っている。」というものだった。
しかし前提として、ベルトの効果は「あったら嬉しい」程度の強化でしかなく、ストーリー攻略〜コインボス程度なら適当なものでも全く問題無い。最新のエンドコンテンツを攻略する段階で、漸く装備の妥協が許されなくなってくるレベルである。以上のことから、運営の想定している「追いつく」というのは初心者が最新のエンドコンテンツに素早く到達することだと推測できるわけだが、ここで大きな矛盾が2つ浮上する。
1つ目は、一番影響が大きいのは始めたての初心者層では無く、フラウソンなどのエンドコンテンツを熱心にプレイしている層であることである。これまでは特定のボスに特攻的な効果があるベルトは「神ベルト」と呼ばれていたわけでが、神ベルトが神ベルトたる所以は当然「めったに入手できないから」である。既存のプレイヤーでさえも持っている人が限られる。故に、エンドコンテンツに参加する層でも神ベルトは「あったらいいな」という願望の水準にとどまり、それ未満の中途半端な性能のベルトでも参加が許されていた。しかし、課金ベルトは既存のプレイヤーも購入することが出来るので、エンドコンテンツでは「神ベルト」の所有(=課金)が当然視され、無課金の人(のうち、神ベルトを持っていない多数の人)が排除される可能性が出てきてしまう。現役プレイヤーでさえ到達しているか怪しい水準のベルトを、いきなり初心者を含めて金で簡単に入手できるようになるのは、環境の変化があまりにも急激すぎると言わざるを得ない。
2つ目は、運営の言う「追いつく」ために必要な前提条件は、ベルトの他にも多数存在するということである。アクセサリー(コインボス)、紋章(万魔の塔)、アンク(ピラミッド)、不思議のカード(魔塔)、もっと根本的にはレベル上げなど、DQ10は「プレイヤーキャラのステータス上昇」を目的としたコンテンツが多数存在する。これまで、課金アイテムでのフォローがされているのはコインボスとレベル上げに留まっていた。しかも、これらの課金アイテムは費用対効果がさほど大きなものではなく、既存プレイヤーに対して一定の配慮をしたものであった。故に、よりPay to Winの傾向に踏み込む際に初めに手をつけるべきは、こういったコンテンツではなかろうか。例えば、1度ボスを倒すことを購入条件にして、数千円~1万円程度で第二世代までのアクセサリーを理論値にできるアイテムを販売する、などである。
長々と書いたが、要は「踏み込んだよりPay to Win的な課金要素は、ベルトではなく多くの人が完了しているコンテンツにすべき、ということだ。