
「そうだ。ご先祖の迦楼羅(カルラ)様はもともと野武士だった。その腕を御認め下さった伝説の勇者様の御庭番となって数多くの戦場を渡り歩き、また、隠密活動で戦況を優位に導いたという。」
「ご先祖様が御庭番とは聞いておりましたが、野武士だったとは。てっきり魔法に秀でた方だとばかり思っていました。」
「ところでこの村を出るためには、出立の儀式をこなさなければならないが、自信はあるのか。」
「自信は、正直言ってありません。しかし、覚悟はあります。もうしばらく修練を積んだら挑もうと思っています。」
「そうか。なかなかに頼もしい面構えになってきたな。その髪は、染めたのか。」
「はい、皆伝の証と、これからの新しい歩みへの決意から。」
そう、僕はもともと真っ黒な髪であったが、皆伝をもらうと髪の色を抜き銀髪にしていた。まっさらな心構えで新しい道を歩みたいという気持ちからだ。王都の美容院で行った魔法の染色なので、これから生える髪にも色は無い。
「なかなか似合っているぞ。」長老はまた目を細めてほほ笑んでくれた。