
かつてラダトーム王から松明と120ゴールドのみを支給されて旅立つ中、ゴーレムと対峙した勇者は、40年後に自宅で栽培したユリやバラで染色したジャージを着た少女が大魔王としてクローバーの乗り物に乗り、異界滅神等に挑む光景を想像できたでしょうか?
ドラゴンクエストウォークの6周年記念のイベントの際に「継承と進化」がテーマに挙げられました。ちょうど同時期に星のドラゴンクエストのサービス終了とドラクエウォークもラスヴェーザ編の完結となり、その直後に新装化したHD-2D版のドラゴンクエスト1&2が発売されました。これは2025年10月末のことでしたが、まるでドラゴンクエストの歴史に区切りが付いて、新しい段階に入ったように私には感じられました。
ここではドラゴンクエスト世界の数点を取り上げて、その40年の中での継承と進化を見てみたいと思います。

まずは呪文についてです。メラやホイミなどの擬音語・擬態語・捩りなどがドラゴンクエストにこれまた独自性を与えました。そして、ベギラゴンのように、基本となる初歩呪文を語幹として、また独自の接辞を付けて、上級や派生の呪文になります。近年ではドラクエ独自でなく、神速、連続、スーパー、アロー、ストーム、バリア、プラスなど実在語を合成させた呪文も出ています。
呪文の種類も攻撃や回復の他、解錠のアバカム、位置把握のフローミ、能力調査のダモーレなど多岐に渡ります。
その後、ドラゴンクエスト6にてマジックバリアが登場した際、ドラクエ独自語彙と異なる現実言語の単語が使われて、一度は違和感がありましたが、徐々に慣れました。その後はグランドインフェルノ、パープルロータス、フォビドゥンバースト、ディバインスペルなどマジックバリアと同様の実在語の呪文が登場し続けます。さらに近年では魅惑の大水球、七賢者の浄炎、轟天雷光、氷獄招来など完全に日本語な呪文も登場しています。ただ、それらは特技のようにも感じられ、垣根が不明です。
さらに加えて、合体呪文も登場するようになりました。元々はマンガ作品のオリジナルでしたが、そこから逆輸入されたり、ゲーム独自で出たりします。逆輸入呪文が先に登場で、その最たるものがメドローアです。その後はデギマ、ジゴラ、ギマホーン、メラゾロス、マヒアロスなど色々と登場していきました。異種合成が続きましたが、ドラクエ11ではクロスの接頭辞を付けたクロスマヒャデドスのような同種合成呪文も登場しました。
ギラやヒャドの草創期からの属性から、ドガやザバのような新しいものまで、呪文の進化は続いていきそうです。

次は竜王を挙げようと思います。伝説の第一幕の最終ボスとして登場し、勇者を味方に引き入れようとした闇の覇者です。小容量の原作ではベギラマや火炎くらいでしたが、その後のスピンオフを通じて、様々な要素が判明もしくは追加されていきました。
実は竜の女王の息子で聖龍の末裔であることが後に判明します。悪の道に入った経緯や曾孫の誕生の経緯は諸説語られています。
形態も当初は2つでしたが、その後に「ロトの紋章」で見えた若い時の姿のりゅう王、ドラクエモンスターズ2で登場のしん・りゅうおう、ドラクエモンスターズスーパーライトで登場したゴア・しん・りゅうおうがあります。
また勇者に味方になれと誘った行為は、バトルロードで「闇へのいざない」、星ドラで「甘いささやき」という名称の特技化されました。なお、私は個人的に2つを合成した「闇へ誘う甘い囁き」としています。
吐く炎も後出の煉獄火炎となったり、終焉の炎や世界を焼き尽くす炎といった他のモンスターの火炎とは一線を画した別格なものと気付ける特技名になってもいます。
他にも格闘技の豪雷竜王拳や魔法とは異なる体技としての気弾技の破魔竜神弾などかっこいい漢字五文字の必殺技のような特技も使うこともありました。
このように原作では表現されなかった様々な側面が追加されるのは良いと思っています。竜王だけでなく、他の魔王やモンスターも同様です。けれども、多くなりすぎてプレイヤーの印象やモンスターの個性の希薄化も起きつつあるようにも感じられ、そこはこれからの制作側の工夫次第と言えます。
「継承と進化(その2)」に続きます。