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かわいそうなみならいあくま

チグサ

[チグサ]

キャラID
: WV250-604
種 族
: エルフ
性 別
: 女
職 業
: 旅芸人
レベル
: 131

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写真コンテスト

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チグサの冒険日誌

2022-05-05 01:26:22.0 2022-05-05 02:16:19.0テーマ:その他

最終話 【DQⅩ茶番】 刈り取れ! ネル子さん


「勝った……あたし、勝てたよ……ッ!」
 ネル子は歓喜の声を上げた。
 身体を包んでいた闇のチカラが徐々に薄くなっていく。
 ふと、向こうでうずくまっているエルフの幼女に気がついた。
 あの子を守る為に強くなれた気がする。
 ありがとう、それを言うためにネル子は近づいた。
「もぉ、大丈夫だからね」
 ネル子は幼女に手を差し伸べた。
 しかし、
「いやぁ! こないでぇッ! こわいよぉッ!」
「え……っ?」
 なんと!
 ようじょは おびえている!
 泣き叫び、後ずさるエルフの幼女。
 どうやらネル子を拒絶しているようだ。
「その子から離れろッ、この魔族めッ!」
「――ッ? 痛ぁ……ッ、もぉ、なにさ?」
 ネル子の後頭部に何かが当たった。
 振り向くネル子の顔を石がかすめた。
「次はその子の生命を奪うと言うのか?」
 ウェディの若者が石を投げつけて来た。
「やめてよっ痛いってば! てか、そんなこと、あたし、するワケないぢゃん!」
 今度は頬に石が当たった。
「黙れ! お前ら魔物が散々暴れやがって、森は滅茶苦茶じゃないか!」
 ウェディの若者が叫んだ。
「あ……!」
 ベリアルとの死闘のせいで辺りは荒れ放題であった。
 焼きただれた木々が何本も倒れている。すでに殆どが鎮火しているが、未だに黒煙を立てている箇所もある。草花は踏み荒らされ、鳥も動物も姿を消してしまった。
「魔族め! お前みたいな危険なヤツは生かしておいちゃいけないんだ! 覚悟しろ!」
 突然、若者が襲い掛かって来た。
 ウェディ男の こうげき!
 ミス!
 ネル子は ダメージを うけない!
「ちょっと待ってってばッ!」
 ネル子の はんげき!
 つうこんの いちげき!
「うわぁーッ!」
 若者が勢い良く突っ込んで来たのでそれを躱したネル子。そのとき偶然足が引っ掛かったらしく若者は顔面から地面に、思いっきりすっ転んだ。
「ご、ごめんね、……だいじょぶ?」
「く……今は、一端、退くとしよう……!」
 ウェディ男は ふくつのこころで おきあがった!
「あのぉ、鼻からどっくどく血ぃ出てますけど……?」
「だが! この傷を癒したら、必ず! お前ら魔族を倒してやるからな!」
「そんな……あたし……違う……」
 ネル子はうつむいた。
「いいか見てろよ拡散してやる! そしたらすぐに冒険者たちが討伐に来るからな!」
 なんと!
 ウェディ男は にげだした!
「ちょーぉッ、あたしゃレアモンスターかッ?」
 イヤな臭いが周囲に立ち込めていた。
 風が止み空気は汚され絶望の予感だけが残された。


「はぁ……。どぉして、こうなっちゃったのかな……ははは」
 もう笑うしかなかった。
 涙は出てこない。どうやって泣いたらいいのかさえ分からなかったからだ。
 と、
「へーいベイビーっ!」
「うわ! ビックリだ。……なに、アンタ?」
 いきなりそこにあらわれたのは――、
「ネル子さま! あっしでやんす。さっきのベリアルでやんす!」
「は~~~ぁ? アンタ、どっからどぉ見ても、ベビーサタンじゃん?」
 でっかいフォークを持った舌のなが~い紫色の小悪魔だ。ただし、そいつの身体は黄色だった。
「あっしは、悪しき心をネル子さまのチカラで刈り取られ、転生したでやんすよ。今後とも、ヨロシクでやんす!」
「いや、意味わかんないし。なんでよろしくせにゃならんのさ?」
 ネル子は怪訝な顔をした。
「冥王さまをお守りするのがあっしの使命でやんす!」
「明らかにさっきの姿のほうが強そうだと思うんだけど……」
「そんなことより早くここから離れるでやんす。騒ぎを聞きつけて人が大勢来るでやんすよ!」
「げっ! まぢで? とりま、行かなきゃ!」
「ちょっ、待ってくれでやんすよー」
 ネル子とベビーサタンは駆け出した。
 そのとき――、

「おねーちゃーん! さっきはごめんねー! たすけてくれてありがとー!」
 
 走りながらネル子は背中でそれを聴いた。
 振り返らずに走り続けるネル子。
 その足取りはほんの少しだけ軽やかだった。


   *


 暗闇の中、謎の禍々しい声が交差する。

「……ネル子には、逃げられたか」
「仕方がない。しばらくは泳がせておけ」
「我々は次の準備に入るとしよう」
「さぁ、目を覚ますのだ」
「あうー。ここ、どこですー? それにしても、身体が痛いのです。変なポーズで、ずっと固まってたのです。きっと、そのせいなのですー」
「おはよう――、ポレアン」





【刈り取れ! ネル子さん】


 完……?




※この物語はフィクションです。
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