人は教えることによってよく学ぶ。
私の名はあずきあらい、自称サソリの教官である。今宵も我が門下生達の指導の為に、紅の戦闘服に袖を通す。教官たる者、先ずは格好からビシッと入らなけれは威厳が保てない、威信を守れない。目を瞑れば初めてこの服を目にした門下生達の尊敬の眼差しが思い出される。あの教官のようになりたい…そんな一同の心の声が聴こえてくるよ。
戦闘服はバザーで980Gで買ったお値打ち品である事、そして染色はレアではなく投げ売りされている安い方の赤花であることは決して悟られてはいけない。お金よりも大事な事もあるが内緒にしなければいけないのだ。
人生において万巻の書をよむより優れた人物に1人でも多く会うほうがどれだけ勉強になるものか。
どんぐり。
多くの人はその名から秋の穏やかな情景を思い描くだろう。しかし私は地獄の中で最も苦しいとされる無限地獄の恐ろしい光景を想像する。
この女性は戦慄に値する衝撃的な行動でブラッド然り絶然り、ありとあらゆる攻撃を被弾する。そしてそこから始まるザオラル無限地獄。又、葉っぱを握り締めて魔蝕へ突っ込む姿勢はさながら特攻精神を持ったナイチンゲイルだ。さらなる地獄になる事も恐れず葉っぱを振りまく戦場の天使だ。つまるところ兎にも角にもなんまいだーザオラル地獄になってしまうので、カーソルはベホマラーではなく常にザオラル待機。これがさらに私のサソリ戦闘の難易度を底上げしてくれる。
しかしそれで良いのだ。
否、これが良いのだ。
登山の目標は山頂と決まっている。
しかしサソリの面白さはその山頂にはなく、かえって逆境の山の中腹にある。
そんな事を考えながら私は今宵も安い赤花で染めた紅マスクを装着するのであった。
この日記は下記の作品のスピンオフ企画となっております。是非本編をお楽しみください。
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