大地は金色に、木々は真紅に
耳に静かに、目に鮮やかに
時止まる冬を控え、夏の情熱を解き放つ
そんな美しき秋の草原に、弦を爪弾くリュートの音が流れる
そんなリュートの音色に惹かれた冒険者が一人
『あら、フォス様。こんなところで奇遇ね!』
声の方へ顔を向け微笑む神秘的なプクリポが静かに言う
『今日は、貴女に逢う気がしていましたよ。バーバヤーガ。』
『へぇ。そんなことまで予知できるなんて、さすがですね』
そう言って、バーバヤーガはリュートが奏でる音色に耳を傾け、
秋の美しさにしばしうっとりとする。
『そうだ。フォス様。記念に一緒に写真撮らせてもらえない?』
『ふふふ。リュートを弾きながらでも良ければ、構いませんよ』
『やった♪今準備しますね!』
そう言って、いそいそとカメラをセッティングしながら
『フォス様、最近は人里には行かれてるんですか?』
『貴女のお陰で世界が平和に向かっていますから。
あまり行きませんね。』
ふぅ~んと、返事をしながら準備を続けるバーバヤーガ
『よし!カメラはバッチリ♪ポーズはこれね♪』
そう言って跪くと、フォステイルが驚いた顔をする
『バーバヤーガ!そのような服装では…』
してやったりという顔でニヤリと笑みを浮かべ
『フォス様。本当に街とか行かないんだ!』
『今、こうしてぱっと見どっきりさせて…』
『安心してください』
『(スパッツ)履いてますよ』
『って言うのが、流行ってるんですよ♪』
そうは聞いても、目のやり場に困るのか、目をつむりリュートを爪弾くフォステイル
『こっ、こほん。皆が楽しく暮らしているのを聞いて安心しましたよ。
世界は平和になったのですね。』
『へへっ。ホントだね。』
笑顔で応えるバーバヤーガ
『あっそうそう。他にもね。こんな風に…』
次々と流行りのことを楽しげに話すバーバヤーガ
いつの間にかリュートの音色も楽しげに変わり
フォステイルの顔にも優しい笑顔が広がっていました。