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英雄の魔女

リンドウ

[リンドウ]

キャラID
: HS978-681
種 族
: 人間
性 別
: 女
職 業
: 魔剣士
レベル
: 123

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リンドウの冒険日誌

2020-02-24 16:47:56.0 テーマ:その他

魔女とは

魔女とは、魔法に携わる者の成れの果てである。

極論を言ってしまうと、この世界の力は物理と魔法の二種類しか存在しない。
あらゆる力は物理か魔法かに分類でき、この世界に住まう人々はそれら両方から世界に干渉する権利を持って生まれ、微量でも無意識ながら理解し制御して力を行使している。
逆に言えば、この世界の全ての者は物理と魔法を両立させて生きており、どちらか一方の力だけで生きている者は存在しない。
そして、この世界において最も魔法や魔力に強く依存している存在。それこそが、魔女である。

普通の魔法使いと魔女との決定的な違いは、魔力への依存度である。
魔法使いは人間の職業の一種であるので、通常魔力やMPが尽きても戦闘不能になったり、死亡する事はない。生命活動に影響が出るのは、あくまで本人の心身両方に委ねられている。
しかし、魔女は自分の生命活動の大部分を魔力で補っており、MPが尽きたり魔力切れが起こると心身共に多大な支障が出てしまう。
当然、魔女の戦闘に用いられる魔法は魔力を用いられているので、魔力を使えば使うほど同時に生命の危機に瀕していく。つまり、魔女は自分の命を削って魔法を行使するのである。
普通の人間が魔女になろうと思ったら、命を魔力炉に変換する魔術を経るだけで誰でもなれるのだ。

これだけだと魔女としてのメリットは薄くリスクばかりに思えるが、当然大きなメリットもある。
まず、物理的な力を捨てて大部分を魔法に依存するので、世界の物理法則に従わなくてもよくなる。
これは物理的な力を切り捨てれば切り捨てるほど物理法則を無視することができ、魔女になるだけでどんな人間も寿命が十年伸ばすことができるほど。
さらに、生きるためのエネルギーを体力や筋力から魔力のみで補っているので、寝食の必要がなく、人間なら数秒で命の危機に陥る水や空気のない空間ですら活動も可能。
他にも、若い姿での外見の固定、空中飛行、病気への耐性、運動能力の向上、寿命の延命など、その効果はどれも地味ながら絶大。
但し、魔力に生命活動の大部分を頼ると言っても完全に切り離したわけではないので、食事や睡眠を摂る事で自身の魔力生成を補っている事が多い。

これらを総括すると、多少人間離れしているようには見えるものの得られる能力はどれも常識の範疇にあり、また無視できる魔力量も魔力のキャパシティの都合上、無視できる物理法則も実はそれほど多くはない。
純粋に魔法を使いたい程度なら職業の魔法使いになれば良いだけである。

ところがこの世界において、自身の限界を超えて自分の所持できる魔力量が増大する瞬間がある。
命の危機に瀕した時である。
身体が生きるためにあらゆるエネルギーを求めるからか、それとも自分の保有できる魔力を抑えるストッパーが壊れるからかは分かっていないが、魔女はそれを利用する。
無論、そう都合よく病気になる事はできず、またそれを保つ事は不可能に近い。
そこで、本物の魔女は"魔瘴"を使うのだ。
魔物の源泉であり、この世界の人間にとって水銀や硫黄を遥かに超える有毒物質。そうして身体を騙し、膨大な魔力を体内に蓄え続けるのだ。「自分は病気だ、自分は生きる力を求めている」と。
だが、魔瘴を摂取し続ければどうなっていくかは、火を見るよりも明らかである。すなわち、魔女とは人間ではなく、その在り方は限りなく魔物と同等なのだ。しかも、途中で魔女をやめる事は出来ない。
魔瘴の摂取をやめれば麻薬中毒者のような禁断症状に陥り、HIVのような症状を引き起こすらしい。魔瘴の摂取をせずとも、身体に負担の少ない毒物である硫黄を扱う魔女もいる。
そうして、魔瘴によって身も心も魔に染まり、何百年と生きていく中で人間としての倫理も道徳も溶けた魔物に堕ち、混沌の時代に生まれ最期は平和な世で退治されて死んでいく。それが、魔女の末路である。
それが魔女、まさに、魔の法を扱う者。
そして、魔物に身を堕とさず魔力を摂取し続け魔女となるためには、魔瘴に頼らずに不治の病にかかるか、もしくは魔力の生成炉を別に確保するしかない。
ゆえに魔女達の間では、無限魔力生成炉、通称"賢者の石"が求められていたのである。

現在、魔女は世界中で10人ほどしか存在しない。過去には何百人という魔女がいた事もあるが、既に亡くなっており現在ではほぼ0である。
魔女が追い求めてやまない賢者の石は、既に生成方法は誰も知らず、闇から闇へと所有者を変える歴史の中で破壊されたものも多く、残っている現物を手に入れる以外に入手方法が存在しない。
ゆえに、賢者の石を所有している事は、魔女はおろか誰にも知られてはいけない。知られれば、世界中の魔女に携わる者からその命を狙われるだろう。
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