※この日誌は、蒼天のソウラ二次創作です。
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ドオオオオオンンッ!!
突然だった。リンドウの前に立ち塞がっていたゴーレム達が、一斉に爆散し破壊され土塊に返っていた。いや、アザミの目には地面が爆発したように見えた。
「ああ、畜生。死んでたな…クソ、保険かけてなきゃマジで死んでたわ…。」
よろりと、リンドウが立ち上がる。違う。彼女じゃない。リンドウは何もしていなかった。ならば、誰が?アザミがその答えを出すには、少々情報が足らなさ過ぎた。
「けどな…ここまでくれば、プランはOK。遮蔽物がない方が、"あいつ等にもよく見えるしな"。」
「…まさかっ!」
そう、仕掛けたのはリンドウではない。アザミのゴーレム達を撃ち払ったのは―――。
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「初弾命中!こちら撞木鮫(ハンマーヘッド)号観測員ミャジ!我が艦の射弾、目標地点命中!補正の要無しと認む!」
「了解。一番は目標アザミへ射撃を続行せよ。二番はしびれ砲弾、三番は対地砲弾の準備。艦砲射撃を行う!」
「交戦中のリンドウ殿至近!射角、火薬量間違えるなよ!」
ヴァース大山林から遠く何キロも離れた沖合。そこにはヴェリナード及びエスコーダ商会の私掠船、撞木鮫(ハンマーヘッド)号が、リンドウとアザミの交戦地帯目掛けて艦砲射撃を行っていた。そこには魔法戦士団と共に、ロスウィード、アスカも乗り込み指揮を執っていた。
振り注ぐ砲弾の雨は見る見るうちにアザミの人形兵たちを撃ち据え、あれほどの巨体も最早良い的でしかないゴリアテも艦砲の前に土塊に返すしかなかった。
「さっきから無駄に撃ちまくってた訳じゃねえ。信号弾だ。合図してたんだよ。私はほんの少し、お前をおびき寄せればそれでよかったんだ。」
長期戦でリソースを削り切ればそれで良し。駄目ならばヴェリナード海軍の艦砲射撃で一気に殲滅する。一つのプランが駄目だったならば次のプランに移行する。
アザミが本気だったように、リンドウもまた本気でアザミを潰すための仕込みを済ませていた。ディオーレ女王に持ち掛けた取引とはこの事。
リンドウは武人ではない。冒険者ではない。別にタイマンで迎え撃つ必要などなく、アザミを殺すための手段などどうでもよかった。アザミは一対一での決着をお望みのようだったが…そんな期待に応えてやる必要も理由もない。
「残念ながら私はA級殺人犯に、単独で挑むほど図太くは無くてな。文字通り、一国一城を丸ごと雇わせてもらったぜ。」
戦局はここに確定した。アザミの完全なる戦術的敗北。最早覆しようもなかった。
しかし、これはある種の必定。アザミの復讐心が本気であれど、見通しが甘かったのだ。
国を敵に回すとはどういうことか。魔女が世界を敵に回すとは、どういうことかを。
「リンドウッ…!!」
「…さよならだ、アザミ。」