まだ「強戦士の書」がない頃の強ボスで
「すごいでしょ、全部のボス、サポ入りでクリアできたんだよ!」
とかって時代がありました。
サポ入りでクリアすることが、4人PTでクリアすることより大変だった時代です。
しかし、徐々に自キャラが強くなると「サポ入りでもクリアできる」状態になっていく。
4人で組まないと勝てないボスは、いずれレベルが上がったりして「格落ち」してサポでも勝てるようになる。
この流れは「かつてのエンドコンテンツ」と「今のエンドコンテンツ」が共存してれば、メリットはあった。
格落ちしたボスを倒すのにフレを誘うのは、人によっては気の引ける行為だから、悪く言えば「文句を言わないサポート仲間」をこき使って、自分のしたいことができれば、それはいいことだった。
サポート仲間のもう1つのメリットとしては「タゲ判別」や「タゲスイッチ」「エンドまで引っ張る」みたいな、人と組んで強いボスに挑戦するのに必須なテクニックが苦手な人の手助けになったこと。
それなりに戦える、手軽に戦えるメリットがあった。
強さが段階的に設定されているボスで、最弱のものとかは勝てるけど最強のものは勝てない、という、それなりに釣り合ったバランスが存在していた。
やはり「称号」を取るなら4人で戦おうというバランスは、よく言えばプレイヤー同士の団結を促進したし、悪く言えばバトルコンテンツ参加の「ハードル」を上げてしまった。(戦う前から自分には無理だと思わせるハードル)
その流れに風穴をあけたのは、聖守護者第1弾の「レギロ」だった。
もちろん難しいボスではあったが、キラーパンサーやキメラなどの「仲間モンスター」を使うことで、最強難易度でも勝てるようになった。
それでもその次の「スコルパイド」以降ではその流れは断ち切られ、4人PT主流の流れが戻ってきたけど、サポート仲間の「優秀さ」が一気にクローズアップされたのは万魔の塔での「サポ踊り子」の台頭だった。
このサポ踊り子入りの万魔は「週課コンテンツ」として「やらされてる」人たちには超朗報だった。しかし、その時点で最新のバトルコンテンツが、4人PTで行くよりサポート仲間を連れて行ったほうが楽に攻略ができる、ということが衝撃的だった。
問題だったのは「踊り子」のスキル自体は強化されたけど、万魔でプレイヤーが踊り子を操作しようとすると難しく、CPUが最適な動きを、コマンド入力の手間なしに実行する「サポート仲間の踊り子」が強い、という「今までにない強化」だった。
このことは「4人でPT組んで楽しむ」こと自体の価値観を変えてしまった。
踊り子のサポを登録できる人のうち、実際に踊り子で自分で操作して万魔に行った人はどれだけいるだろうか?
そんな流れの中、今回のアップデートでは「ムチまもの使い」が強化された。
プレイヤー自身が操作しても確かに強いバランス調整だった。
しかし、サポ踊り子のときにプレイヤー側は気が付いてしまった。「人より機械のほうが優秀だ」ということを。
おそらく、ムチまものサポを出せる人は、攻略ブログを見て装備や宝珠、スキルを調整し、そしてそのほとんどが自分でムチをふるってはいないだろう。
人探しをしなくていいメリットは、アストルティア全体のプレイスタイルをも変えてしまおうとしている。
「人と組まなくても勝てる」じゃなくて「勝つためには人と組むな」になりかねない。
ムチをもって自分で前衛をしたい!と思っても、サポより動きが悪いとわかってる人と一緒にPTを組もうと思ってくれる人は、確実に減るだろう。
サポは手軽なのかもしれない、それはいいことかもしれない。
実際いろんな場面で、恩恵にあずかっている。ほったらかしで素材を盗み、ゴールドを稼いでくれたりもする。
でも、強い敵までサポで倒せちゃったら、その人は称号を取ったらもうやる気もなくなるだろう。
見た目装備のためのアイテム集めはするかもしれないけど。
次の聖守護者では、最初からサポート仲間入り前提の攻略が「テンプレ構成」になってしまうかもしれない。
それを手軽だからと喜ぶ人と、やはり4人で組んで倒したいと思う人と、どちらが多くなるだろう?
称号取れるように一緒に頑張ろうとか、これからうまくなりたい人を手伝おうとか、そういうのがなくなって「いいサポ借りれば勝てるよ」って・・・
ただサポート仲間を蘇生、回復するだけの戦いだけがアストルティアに残ってしまったとしたら、きっとつまらなくなるだろうな、と思う。
こういった「サポありきの流れ」は開発・運営は想定してたのだろうか?
ドラクエ10のバトルシステムは、大きな分岐点に立っている、そんな気がしてならない。