戦いは実力が似た者同士で行った方が盛り上がる。
戦術が確立された戦いなどは、ただの消化試合に過ぎないーーー
などと屁理屈をこねて、敢えて苦難に挑む者がいる。
戦いがただの情報として管理され、
効率化された社会に小さな反抗を繰り返している者がいる。
それはしばしばエンジョイ勢と言う名目を隠れ蓑にする者たちであり、
一歩間違えればただ己の快楽の為だけに人を不快にさせる存在でしかない。
戦いに負ければ機会の損失。
そのリスクを考えれば、
彼等が時代に取り残されるのも仕方の無いことでもある。
しかし…このⅩの日に於いては、リスク無しに戦う機会を得ることが出来る。
挑む、などと言う名目で彼は再び戦いに身を投じるのだ。
彼はその敵ーー暗黒の魔人を欠陥構造だと言い放った。(※前日誌参照。)
弱点剥き出しの相手などは恐るるに足りぬ。
ならば正面から打ち砕くべきである、と。
彼…とある僧侶の前には闘いを制する者…バトルマスターが3人いた。
所謂、真っ向から火力で叩き潰すという構成である。
これは僧侶に多大な負担を強いるため、安定するとは言い難い構成である。
自信のある僧侶ならまだしも、そうでないなら囮構成で通すべきである。
彼はーー普通の僧侶であった。
だが、普通に生きられぬ僧侶でもあった。
慢心である。
慢心こそが不安定を生み、闘いを盛り上げるものだと。
彼はそう信じていた。
しかも今回は新兵がいる。
レベル90にも満たない、
いかにもバトルマスターやってませんを通しているかのような、
そんな新兵が一人。
新兵に聞くまでもないことだが、
そうなったのは「場の空気」を読んだからである。
当然の如く入れられるカード4枚。
彼らは真剣に死合いを望んでいたようだ。
そして闘いが始まった。
続く。