メラスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の土地管理人を除かなければならぬと決意した。メラスには金策がわからぬ。メラスは、村のバトルマスターである。防衛産の剣を振り、アラグネ強と遊んで暮して来た。けれどもコンテンツに対しては、人一倍に敏感であった。
きょう未明メラスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のメギスの市にやって来た。メラスには設定上の父も、母も無い。相方も無い。レベル十六の、内気なリアル妹と二人暮しだ。この妹は、日誌仲間の或る律気なフレンドを、近々、相方として迎える事になっていた。結婚式も間近かなのである。メラスは、それゆえ、花嫁のドレアやら星3の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。
先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をスティックを浅く倒し歩いた。メラスにはガチのフレがあった。セリヌンティである。今は此のメギスの市で、道具鍛冶をしている。そのフレを、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しくフレチャ以外してなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。
歩いているうちにメラスは、市場の様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、サーバー40のせいばかりでは無く、市場全体が、やけに寂しい。のんきなメラスも、だんだん不安になって来た。路で逢った若いダイス屋をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆がアイテムを値下げ競争や梱包して、市場は賑やかであった筈だが、と質問した。若いダイス屋は、BLをして答えなかった。しばらく歩いておじに逢い、こんどはもっと、!マークを多くして質問した。おじは答えなかった。メラスは腰を深く落とし真っ直ぐにおじを突いて質問を重ねた。おじは、フレンド申請をしてフレチャで、わずか答えた。
「マイタウンは、金策を殺します。」
「なぜ殺すのだ。」
「マイタウン購入には2億かかるというのですが、誰もそんな、金を持っては居りませぬ。」
「たくさんの金策を殺したのか。」
「はい、はじめはしもふりミートを。それから、キラキラ拾いを。それから、オーブ金策を。それから、結晶金策を。」
「おどろいた。バザー民は乱心か。」
「いいえ、乱心ではございませぬ。市場価格を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、討伐売りもわけがわからなくなり、少し派手な売り方をしている者は、水糞を差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば通報されてBANされます。きょうは、六人BANされました。」
聞いて、メラスは激怒した。「呆れたマイタウンだ。生かして置けぬ。」
メラスは、単純な男であった。