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調理を継ぐ者

ティソナ

[ティソナ]

キャラID
: ZV419-388
種 族
: ドワーフ
性 別
: 女
職 業
: バトルマスター
レベル
: 106

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ティソナの冒険日誌

2015-11-30 14:36:21.0 テーマ:その他

神父シリーズ ゆで卵のお好みは?

ギルザット地方に出張していた帰り、しんせんなたまごがたっぷり手に入った。
いつものうすら汚れた教会に戻ると、湯を沸かして適当に卵を放り込む。
『アタシ、はんじゅくが好きなのに~』
まぁ、正直、適当な時間が分らない。
分ってるのは、神殿の専売品を一本吸い終えるくらいがちょうどいいということだけだ。
二階に上がり、都合の悪い物を隠すように置いてある専売品が眠っているので、三本失敬する。
一本目は時間を計るため、二本目は貴重な専売品の品質を確認するため、三本目は、まぁ、いいじゃねぇか。

二階の窓を開けると季節相応の冷たい雨が、窓べりを叩く。
身も凍るかと思えたが、神殿の専売品の品質を確かめるのは神父の務めだと言い聞かせて。
ポケットから寒さに震える手を出し、手に持った銀色を軽く手首のスナップを効かせて振りぬく。
(カキン、シュボ)
乾いた金属音とともに火花が散り、小気味よく火が灯る音がする。
コイツは、ちょっと癖のあって、火をつけるのが難しい。
この形見のジッポを一発で付けることが出来るのは、俺の密かな自慢だ。
口にくわえた専売品に火を移して、胸いっぱいに煙を吸い込む。
一口目は旨いが、二口目からはクソッタレな味しかしない。

何度目かの吐き出しで、窓べりに背中を預ける。ふーっと息の音だけが部屋を反射する。
吐き出す紫煙に紛れて、
『もう!家の中に吐き出さないでよ!窓開けてる意味ないじゃん!』
フラッシュバックするアイツの顔と声。
両目を閉じてそれらを描こうとするが、立ちすぎた時間は悲哀と共に大事なものまで消えゆく煙のごとく揺らがせていく。

だが、煙を家の中に吐き出したのは、思い出すためだけという訳でも無い。
専売品が置かれていない床が見える場所に。不意打ちのように姿を表す、丸い球体。音も光もほとんどない。
リレミトの球体を小さくした物というところか。
そいつに煙が吸われていく。
ついでに、半分以上吸い終わった専売品を口から放し、その球体に向かって投げると球体から小さな手が現れた。
手は小さな小袋を持っており、空中で専売品を吸い込むように受け止める。

手の次は体と頭、足と、やがてそれはメイドが良く似合う緑色の髪の美少女が姿を表す。
「半年ぶりくらいでしょうか。お久しぶりです。」
お久しぶり等という呑気な挨拶を交わす間柄でも無かった気がするがな。
「それは、おかしいですね。」
何がだ?
「お互い、直接手を出せない保護者同士、もう少し通じ合っているものかと思っていました。」
止めろ、薄気味の悪い。
―――だが、同意の笑みが零れるのは、止めれそうにない―――
「くすくす」

まぁ、良い。何の用だ?
「いえ、大した用事は有りません。ご主人様も、お宅のお嬢様も立派に一人でやっておられますから。」
結構なことだ。教会に用事があるのは碌でもないことが多いからな。
「いえ、最近。娘さんに、もう一人分身がおられましたでしょ?」
ん?、ああエルフの娘だったか。
「少しばかり、活動を開始したらしいですわ。日替わり討伐などを始めているとか」
ふん。知らんよ。
「そのエルフも、ここを死んだときの復活場所にしてるらしいですわ」
神々の精霊から呼び出し音が、飛んでくる。誰かが全滅してここに飛んでくるらしい。
・・・おい。まさか・・・
「ええ。そのまさかです。」
飛び出すように、外へ向かう。

「びぇぇぇぇ!」
アホか!?”せかいじゅのは”どうしたんだよ!?
「このエルフっ娘、持って無いもん」
なんで、イエローバングルなんぞに!?
「いま、日替わり討伐すごい儲かるんだよ!?40000だよ!」
じゃ、この一万三千ゴールド没収な。
「・・・え?!ひさしぶりじゃん!まけてよ!」
まかるか!学習せんやつには繰り返し教えるしかなかろうが!
「びぇぇぇぇ!」

とりあえず、外は冷たいから中に入れ。
「ふぇぇ・・・え?」
中にあるゆで卵、食いたきゃ食って良いぞ。ゆび差す先にはいつの間にやったのか知らないが。
【しんせんミルクあたためておきました。橘。】
まったく、油断も隙もあったもんじゃねぇ・・・
「これも飲んでいいの?」
そうらしいな。
「アタシ、はんじゅくが好きなのに~」
三本目は湿って火が付かないようだった・・・
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