少年はみんなを笑わせるのが大好きな明るい子どもで、
クラスではいつもムードーメーカーでした。
そんな彼にも、少し気にしてる事がありました。
彼はとてもとても背が低かったのです。
その事をからかわれたりもしましたが、
〃みんなを楽しくするための【ネタ】なんだ〃
…と、彼は思い込むようにしました。
しかしある日、彼の友達が言いました。
「僕の友達を盗らないで!みんなにいい顔ばっかして、
君なんて全然信用ならない!偽善者!チビ!」
その言葉は、少年の心に深く突き刺さりました。
〃ボクはみんなの事が好きで、みんなが楽しければって思っただけなのに…〃
彼は存在全てを否定されたように感じたのです。
そんな事があっても、彼は次の日も学校に行きます。
次の日も、そのまた次の日も。
しかし、彼はいつしか人の顔を見ることが怖くなっていました。
それでも彼は学校に行き続けます。
〃ボクの欲しいものはここにしかないのだから〃
そう自分に言い聞かせ、無理をしていた彼は、とうとう体を悪くします。
それでも彼は学校に行きたがりました。
見かねた彼の母は、彼の誕生日にドラクエ10を買ってあげました。
この子に他にも居場所を作ってあげたい…
そんな願いが込められていたのかもしれません。
ゲームに全く興味がない彼でしたが、
公式ガイドブックをパラパラ眺めていて、ハッと目が止まりました。
『旅芸人』
〃なんてステキな響きなんだ〃
彼は胸をときめかせ、母のもとまで走りました。
「お母さん!ボク、ドラクエやってみたい!」
久々に見る、息子の嬉しそうな顔に、
彼の母は涙を浮かべます。
そして、彼は冒険の世界の扉を開きました。
彼と彼の母は、オフラインモードを進めていきます。
「ねえ、旅芸人はまだかな?」
「もう少しでなれると思うよ」
「じゃあコンビニまで行ってくるから、お母さん先進めてて」
彼は足早に部屋を出て行きました。
買い物を終え、袋に大量のおやつを持ち、彼は夜の雪道を歩きます。
顔を上げると、冬の夜空には無数の星々が輝いていました。
〃星の数だけ出会いがあったらいいな〃
家に帰ると、彼の母がオフラインを終えて待っていました。
画面右下には、旅芸人の三文字。
彼は思わずニヤけてしまいました。
しかし、先程までの彼のキャラの姿がどこにも見当たりません。
彼は不思議に思い、スティックを動かします。
すると、画面下で黒い何かがモゾモゾ動いています。
そう、彼のキャラはプクリポに転生していたのです。
彼の指が止まり、
「ね!可愛いでしょ!きっとみんなの人気者になれるわ」
…と彼の母が言いました。
そのとき、彼の脳裏に友達の言葉がよぎりました。
「こんなの…じゃない」
「え?」
「こんなの旅芸人じゃない!」
「だって旅芸人って人なんだよ。人じゃなきゃなれないんだよ。
ボクはこんなペットみたいのになりたかったんじゃない!」
「お母さんのバカー!」
彼は母親にコントローラーを投げつけ、部屋から追い出しました。
部屋を真っ暗にし、彼はベットで一人泣き続けました。
涙も涸れ、呼吸も落ち着きを取り戻したとき、
彼は胸にズキンと痛みを感じました。
自分を想ってくれている母の気持ちを、
自分に元気になってもらいたいという母の願いを、
他の誰よりも、彼が一番よく知っていたからです。
彼は灯りをつけ、部屋を片付け、
再びSwitchのスイッチを押しました。
テレビには、夜明けの朝日と共に、
彼のプクリポが映っていました。
~おしまい~

長っ!!
という訳で!
彼の夢は『旅芸人』
(旅芸人になって世界に笑いを与えていくこと)
『人』
人外の獣は人ではないのでなれません。
人という文字が使われてる職業は、意外なことに旅芸人だけなの。
あとがき~
私のこよなく愛する『プクリポ』と『旅芸人』での問題でした。
しかし、最初の物語やヒントが分かりにくく、紛らわしいものになってしまったのが心残り。
(意味深な台詞…これじゃスパスタと連想しても仕方がないね)
改めて文章を書く難しさを痛感。
今回、おかきちゃんとフランコさん、良い質問でしたね。
あれでかなり正解に迫れたんじゃないかと思います。
参加して頂いた方々、読んで下さった方々、
ありがとうございましたー!

僕は知ってるよ
誰よりも君が
一番輝いてる瞬間を

夢を追う君へ
思い出して くじけそうなら
いつだって物語の主人公が立ち上がる限り
物語は続くんだ

君ならきっと…
「サザンカ」 SEKAI NO OWARI