誠也が現場を見ていると、刑事がやってきた。
荒谷誠也)刑事さん。事件の内容を説明していただきたい。
山崎刑事)事件が起こったのは午後2時ごろ。廊下にて1年3組担任の間宮和也(まみやかずや)氏が殺害。また、職員室でも3年2組担任の佐藤純子(さとうじゅんこ)氏が殺害された。死因は両者ナイフでの刺死。ナイフには誰の指紋もついていないので、容疑者は今のところいない。
荒谷誠也)し、指紋がない...?
誠也はその情報にどうしてもひっかかった。誠也は冥のところに急いで向かった。
荒谷誠也)まさか、冥。お前、殺人事件の犯人ではないよな?
影野冥)...。私は何も知らないよ。
荒谷誠也)正直に言ってくれ。本当に殺してないのか?
影野冥)...。どこに私が人を殺した証拠があるのかな。
荒谷誠也)ずいぶん冷静だな。
影野冥)そもそもナイフには指紋がついていないんだよ。誰が刺したかなんて分からないじゃないか。
荒谷誠也)いいや、一つ心当たりがある。
影野冥)どんなんかな?
荒谷誠也)手袋さ。
影野冥)...。どういうことかな。
荒谷誠也)手袋さえつけていれば指紋はつかない。冥、たしかお前、黒い手袋つけてたよな?
影野冥)...!
荒谷誠也)それに、お前みたいな戦闘力が高い奴なら、無傷で人を殺すことだってできるんじゃないのか?
影野冥)その根拠は?
荒谷誠也)そ、それはあくまで推測だが...。
影野冥)悲しいよ、私は。
荒谷誠也)え...。
影野冥)今まで一緒にいた“トモダチ”に殺人事件の犯人じゃないかって疑われてるなんてね...。
冥の声はたしかに悲しそうな声をしている。しかし、顔はちょっとした笑みを浮かべているように誠也には見えた。
影野冥)私を本気で犯人だと思ってるなら...。もっと証拠を集めてから来てほしいなぁ。まあ私は犯人ではないけど。
誠也はますます混乱した。分からない。彼女が犯人だと考えて捜査するか、それとも犯人は別にいると考えて捜査するか...。今まで一緒にいたかけがえのない人を信じないのは心が痛い。かと言って相手は闇。何をしでかすかも分からない。冥は哀れみの目でこっちを見ている。余裕の笑みか...。安心の笑みか...。今すぐ冥を犯人にしたてて逮捕させるという手もある。かと言って、そんなことをしては二度と冥に会えなくなる。もう、どうしたらいいんだ?誠也はもはや脳の限界だった。考えるだけで頭が痛くなる。冥が犯人だなんて考えたら。こうなれば...。
誠也は助っ人を呼んだ。その助っ人とは...。
続く