坂上優一)おはようございまーす。
田中医院長)ああ、おはよう。今日もよろしく頼むよ。
俺の名は坂上優一(さかがみゆういち)。田中歯科医院で働いてるベテランの歯科医師だ。そして彼が医院長の田中英治(たなかえいじ)先生だ。
坂上心優)おはようございます!本日もよろしくおねがいします!
田中医院長)うむ、期待してるぞ。
彼女は坂上心優(さかがみみゆ)。俺の妻だ。常に笑顔を欠かさず、学歴超優秀(偏差値83、しかし数学を除く)で、治療もとても上手なすごい人だ。
坂上優一)本日はどのような予約で…?
田中医院長)ああ、早速君たちに頼みたい治療があるんだ。この歯科医院では、君たち(優一と心優)が一番腕がたつからな。まあとくに坂上君かね。
坂上優一)光栄です…。
坂上心優)あ、優ちゃん、
坂上優一)その呼び方はやめろ…。
坂上心優)アハハ、ごめんね。
とても賢そうには見えないが、こんな性格であり、とても優しい。当然俺は彼女と仲はいい。
坂上心優)んでさ、今日の昼ごはん何がいいかな?
坂上優一)今その話かよ…。普通にパンとか買えばいいんじゃないか?
坂上心優)そうだね、ありがとう。
彼女はニコッと笑顔を見せた。彼女の笑顔は俺の元気の源でもある。見ると安心するんだ。なぜか。
坂上優一)そろそろ治療の時間だぞ。
俺たちは診察室にはいった。
坂上心優)えっと…。蓮人君、どうぞー。
大島蓮人(おおしまれんと)、子供の常連客だ。だいたい嫁が診察している。彼女は満面の笑みで接客する。
坂上心優)今日はどうしたのかな?
大島蓮人)虫歯ができてるんです…。
坂上心優)それじゃあ治療しようね。
心優は蓮人をつれ、診察室へと案内した。こんなときでも笑顔は尽きない。彼女はお客第一でいっているらしい。
坂上心優)じゃあ、ここに寝てくれるかな?
心優は蓮人を診察台にのせた。そして口の中をチェックし始めた。
坂上心優)隙間0、1mm、間1、2cm、進行ペース4…。なるほど。それじゃあ治療を始めるから、じっとしててね。すぐ終わるから大丈夫。
心優は笑顔と優しい声で彼を宥めている。そして笑顔を消し、非常に真剣な表情で器具をもち、治療を始めた。彼女は普段は笑顔を絶やさないものの、治療の時となると、人が変わるのだ。
坂上心優)麻酔をいれ、隙間にさして、侵入を確認。…ここだ!
心優の治療は虫歯対応ならだいたい5秒で終わらせるのがすごいところだ。この治療方式は彼女自身が独自に編み出したもので、痛くないし、すぐ終わるのがメリットだ。
大島蓮人)ありがとうございました。
蓮人は笑顔で帰っていった。
坂上優一)お前ほんと凄いよな、その治療方法。
坂上心優)アハハ、そう?慣れれば簡単だよ。
坂上優一)あ、俺も治療があるから、ちと行ってくる。
優一は診察室にはいっていった。
坂上心優)さてと、お昼ごはんどうしようかなぁ…。優ちゃんが喜びそうなのでも買ってこようかな。医院長、次の私の診察時間って何分後ですか?
田中医院長)ええっとね、君の次の治療は1時間後だよ。
坂上心優)ありがとうございます。
心優はスーパーに直行した。
坂上優一)本日は、どうされましたか?
俺の相手は一般市民のような人だった。
長谷川隼人)ちょっと歯が痛くて…。
坂上優一)虫歯かもしれませんね、詳しく見てみましょう。
俺は長谷川さんを診察台に寝かせ、治療を開始した。
坂上優一)虫歯はありませんが、歯垢がたまっていますね。いつ虫歯になってもおかしくないレベルなので、歯垢をとります。
俺は長谷川さんの歯垢を掃除した。
坂上優一)しっかり歯磨きするようにして、虫歯にならないよう気をつけてくださいね。
長谷川隼人)ありがとうございました。
俺は診察室をでた、その時。
坂上心優)あ、優ちゃん!
坂上優一)み、心優か、どうした。
坂上心優)お昼ごはん買ってきたから、一緒に食べよ♪
坂上優一)あ、買ってきてくれたのか。ありがとう。
俺は心優と、休憩室で食事をとった。
坂上優一)なあ、あの治療方法、どうやってやってるんだ?
坂上心優)ああ、あれはね、麻酔4秒抜歯1秒でやってるんだよ。
坂上優一)え、そんなことできるのか?
坂上心優)うん、なれればできるよ。
坂上優一)お前さ、いつも笑顔だけど、疲れてないか?
坂上心優)いやいや、治療が終わった患者さんが笑顔でここを出ていくのを見るのが私の生き甲斐だからさ♪
彼女のポジティブさには、まったく敵わない。どうすればここまで元気に仕事できるんだろうか…。
坂上心優)あ、ねえねえ、優ちゃん、話があるんだ。
続く