今回の話は非常にブラックな内容となっております。そういう話が苦手、あるいは、今の坂上心優が好きという人はこの話は絶対に読まないでください。この話は読んでいても読んでいなくても、後の話の内容の関連にはつながらないものとなっております。見ても後悔しない人自信があるだけ、続きをお読みください。
「生まれてこなかったらよかった。」
そう山中心優は悟った。10歳の山中心優は成績最悪、スポーツ音痴。おまけに心優の兄の蓮人は成績優秀、スポーツ万能。母からは大事にされていた。反対に心優のことはそっけない態度をとり、心を閉ざしていた。
山中心優)ねえ、お母さん、お母さんったら。
そう呼んでも母は忙しいとしか言わず、
山中蓮人)母さん。
心優の母)ん?なに?
蓮人が呼べば即反応。心優もまいるレベルである。蓮人はそれを利用し、心優にはからかったりして非情で偉そうな態度をとっていた。
ある日のことである。ふと心優は深夜に目が覚めた。奥からは母の独り言が聞こえる。
心優の母)どうして心優はなにもできないの…。蓮人と違って。あんな子、産んだのが間違いだった。
「産んだのが間違いだった。」
その言葉は心優の生涯消えない傷となった。
山中心優)(私は一生懸命生きているのに…。人間できないことがあったって仕方ないじゃないの…。)
その日から心優の態度は急変した。どういった態度かというと、実に恐ろしいものである。ずっと笑顔を無理やり作るようになったのだ。
山中心優)笑顔さえ作ればなにも危害は加えられないはず。人間は笑顔の人に手をだすのは罪悪感を感じるはず。
それが心優の信条となった。彼女は笑顔以外みせなくなってしまったのだ。さらにその日から心優は猛勉強するようになった。兄に劣る悔しさと母のいいかげんな扱いに腹がたったからだ。そんな彼女は成績がおそろしいほど優秀になり、通知表の評価は優(最上位レベル)の評価しかつかなくなり、蓮人もまったくといっていいほど敵わない頭脳明晰になった。しかし失ったものもたくさんあったであろう。
心優の母)あんた何いってるの!?
山中心優)だめかな。アスフェルド学園の特待生コース受験したいんだよね。
アスフェルド学園といえば、戦いと勉強を両立させた名門学園である。ほとんどの者は戦闘力で入学試験を通らせているが、テストでとろうとなると偏差値が80以上ないと受からないレベルだった。
心優の母)あんたなんか無理に決まってるでしょ!入学試験代がもったいないわ!
山中蓮人)心優、いくらお前でも無理だって。
山中心優)いけるよ、入学試験代ちょうだい。
心優はとにかく身内を説得し、なんとか納得させて入学試験に臨んだ。
結果、心優は落ちた。問題の答えを解答欄の本来の位置と別のところに書いたことが原因だった。その日、心優は自分の部屋で大泣きしたくなるような悲痛を感じていた。しかし彼女は笑うことしかできなかった。リビングでは母と兄にからかわれる毎日が続いた。
心優の母)あっはっは!やっぱあんたが受かるわけなんかなかったんだよ!
山中蓮人)やっぱ無理しすぎだったって(笑)。
山中心優)あ、あはは、そうだよね!私なんか無理に決まってるよね!
そういって心優は涙を圧し殺して無理やり笑顔を作った。心優は部屋に戻った。
山中心優)…あれ?
心優が自分の異変に気づいた。目から水があふれていたのだ。
山中心優)これが…。悔しいって感情?
心優は学んだ。悔しいときはおもいっきり悔しめばいいって。
山中心優)明日たしかアスフェルド学園の入学試験あったよね…。受けてみようかな。
心優はお年玉を全額使い、入学試験を受けた。
心優は板に自分の受験番号がのっていることに気づいた。
その日から心優の生活は一変。アスフェルド学園に悪い生徒はほとんどおらず、常日頃から笑顔を作っている心優はどんどん人気者になっていった。
しかし、そんな心優を快く思わない男子は、心優にイタズラをしかけるようになり、心優は再び人間不信を抱いてしまった。
山中心優)私のなにがいけないのよ…。
心優は泣き叫びたい気分だった。
心優はアスフェルド学園を卒業後、歯科医師の免許をとった。そしてたなか歯科医院に務めるようになった。
坂上優一)心優、おはよう。
坂上心優)優ちゃん、おはよう♪
そういうと心優はニコッと笑顔をみせた。彼女の笑顔の瞳の奥は計り知れない真っ黒な色彩、そしてその笑顔は偽善者を装っていた。彼女に笑顔などなかった。
続く