僕の名前は荒谷誠也。小学4年生の男。僕は、お父さんとお母さんの3人で幸せに暮らしていた。
「ただいまー!」
「おかえりなさいー。」
そうお母さんは僕を迎えてくれた。僕が、学校であったことをお母さんに話して、お母さんはそれを笑顔で聞いてくれた。
「今日ね、影野冥ちゃんってクラスメイトと友達になったんだ!」
「あらー、よかったじゃないー。」
僕は好きなアニメを見ながらお母さんに楽しく話し、お母さんも楽しそうに聞いてくれる。
「ただいまー。」
「おかえりー!」
「おかえりなさいー。」
僕とお母さんはお父さんを迎えた。お母さんは料理を作ってお父さんを迎え、僕たち家族で美味しい食卓を囲む。
「いただきまーす!」
そう皆言って食事を楽しんだ。ずっとこんな幸せな生活が続くと思っていた。
でも神様は無情だ。この日は僕の誕生日だったから、お父さんはたくさんのご馳走を買って帰ってくると言っていた。だから僕もお母さんも、お父さんをいつにもまして心待していた。
でもお父さんは帰ってこない。いくら待っても帰ってこない。
「もしかしたら、仕事が忙しいのかもしれないわねー。」
「そうだね…。」
「テレビをつけましょうか。」
そう言ってお母さんはテレビをつけた。直後僕たちは硬直した。それはニュース番組。そして、その番組には…。
お父さんが亡くなった報道があった。
その日から幸せな日常は終焉をむかえた。母は僕のために朝から晩まで働くようになってしまい、僕はほとんどの時間を一人で過ごした。
「お母さん、どうしてそこまで無理するの!?」
「だって…。この前あなたに…。祝えなかった誕生日を祝ってあげたくて…。」
お母さんの体力は最早限界だった。これ以上働かせていいのか。
「お母さん、そんなに無理しないで…。」
「誠也…。」
僕は今日ほど学校が終わるのが待ち遠しい日はなかった。今日は僕の誕生日。お母さんがたくさんのご馳走を用意して待ってくれているそうだ。とても楽しみにしていた。
「荒谷、荒谷はいるか!?」
突如担任の芝田亮仁先生が僕を呼ぶ。
「は、はい、なんでしょうか?」
「実はな…。」
僕は大急ぎで病院に駆けつけた。
「あ、誠也君!」
医者が僕に気づく。
「こ、こんにちは…。母が重体と聞きまして…。」
そう、お母さんが倒れたらしい。僕はその報道を聞いたとき、気を失いかけた。
「残念なんだが…。君のお母さんが助かる可能性はもうない…。」
「な、なぜ!」
「もう、これ以上の呼吸ができないみたいなんだ…。」
「(なぜ…。神様、なぜ僕たちにばっか試練を与えるの?お父さんをつれていったのに…。お母さんまでつれていかないでよ…!僕一人になったらどうしたらいいの…!?)」
「誠也、あのときはごめんな。」
「え…?」
誠也が見上げる先にはお父さんの姿があった。
「ごめんな、誕生日を祝えなくて…。まだプレゼントをあげてなかったよな。誠也、これがお父さんの誕生日プレゼントだ…。」
お父さんはそう言って消えた。次の瞬間。
「え…!?」
医者が驚きの声をあげる。
「こ、呼吸が…。正常に…!」
お母さんがなんと健康に戻ったのだ。
「お、お、お、お母さーーん!!」
そういって僕はお母さんにだきついた。
終わり