「チリリリリ!」
午後11時、ルマの部屋にて、目覚まし時計の音が鳴り響く。ルマは、目を擦りながら、脳の活性化を図った。
「うーん…。起きないと。」
ルマは、体を起こそうとする。しかし、金縛りにでもあっているのか、体が動かない。しかし、ルマは何も焦らない。
「すやすや…。」
そう、リウ。リウがルマに引っ付いているのだ。ルマは起こすか悩んだが、とりあえず体を揺らした。
「う、うーん…。…あ、おはよう。」
リウもお目覚めだ。といっても、現在夜なのだが。二人はベッドから降り、各自用意した荷物を持った。そして、ルマはどこから入手したのか、地図を持っていた。
「そ、それ…。どこで手に入れたの?」
「ああ、今からいくとこ、けっこう心霊スポットとして有名だからさ。まあ実際行く人はほとんどいないらしいけど。だから、地図とか作ってる物好きもいるんだ。だから、友達にもらったんだよ。」
ルマは造作なく話すが、リウは納得いっていない様子だ。
「…そもそもルマって、前向性健忘だから私とか家族のこと以外忘れるんじゃ…。」
「だーそういう話は作者にしろ!」
「…ごめん。」
何はともあれ、準備は完了した。あとは、行くだけだ。
「よし、そろそろ行くか!」
リウとルマは、親にバレないよう、そっと玄関に向かった。幸いにも、親は寝ている。…いや、これを幸いというには、語弊があるか。
「よし、出るぞ。」
リウとルマは、家を出た。親にバレることはなかった。こんな夜に、まだ年齢の数が二桁に満たない子供が外出するのは、普通に考えて危険だし、ましてや心霊スポットに行くなんて、縁起でもないだろう。しかし、二人はそれでもなお、行きたかったのだ。
「ここをこういって…。あ、ここは左折だな。」
ルマは、リウの連れて、マップを確認しながら、学校へと向かっていた。夜故に、二人は少し恐怖を感じていたが、そのようでは、学校で起こるであろう恐怖など耐えられない。大丈夫なのだろうか。そんなことは他所に、二人はしばらく歩き続けていた。
「そろそろ見えてくるはずだが…。…お、見えてきた見えてきた。」
ようやく見えてきた。廃校となったのは最近のせいか、まだ廃れてる感じもないし、朽ちている感じもない。二人は、校門のところまで来た。とても、緊張している様子だ。
「…やっぱり怖い。」
リウは、ルマの手を強く握った。ルマは、覚悟をきめ、そーっと校門を開けた。どうやら、普通に開くようだ。リウも覚悟を決め、二人手を繋ぎながら、学校へと入っていった。
「…暗いなあ。普通に見えるんだけど。」
電気はもちろんついていない。おそらく、つけることもできないだろう。
「本当に暗いね…。」
リウは、少し怯えている。無理もないだろう。
「トントンッ。」
肩まで叩く。
「なんだよリウ…。肩つつかなくてもいいだろう。」
「…え?私、別に肩叩いてないよ?」
「…え。」
「…。」
二人は、背筋が凍るのを感じた。
「…やめよ。怖くなる。」
ルマは、つぶやいた。リウは、小さくうなずいた。
「とりあえず、何処か落ち着ける場所ないかな。」
ルマは、地図に目をやる。その間、リウはあたりを見渡していた。とても不安そうに。
「…ここをまっすぐ行くと、図書室がある。とりあえず、そこに行こう。」
ルマは、リウと一緒に、図書室の方へと走っていった。そして、ついた。部屋を開けようとする。
「…。待て、開かないな。鍵が必要っぽい。」
それをきいたリウは、あるを提案をした。
「職員室っていうところなら、あるんじゃないかな。」
「たしかに、行ってみるか。」
二人は、路線を変え、職員室の方へと歩いていった。やけに長い廊下は、二人の不安を煽る。リウは、心臓の鼓動が早くなるのを、身を持って感じた。しばらく歩いていると、職員室についた。
「…。お、開くね。」
職員室のドアが開くのを確認し、ルマはリウと一緒に入った。
「…お、リウ、あれ見ろよ。」
二人は、鍵の束を見つけた。鍵が、ぎっしりリングについている。これで、鍵がないことに困ることはなくなりそうだ。
「よし、いい収穫だな。」
ルマはリウとハイタッチした。そして、職員室の扉に手をかけた。
続く