「…。」
ルマは、椅子に座って、資料を読んでいる。リウも、あたりをキョロキョロしながら、椅子に座った。あんなのが突然現れたら、怖くなるのも無理はないだろう。
「…七不思議は、特定の、テリトリーがある。そして、そこから離れることは叶わない…。」
ルマは、再解釈した。
「…つまり、七不思議は、それぞれが生息してるところからに離れられない…ってことか。だから、あの職員室の奴も、職員室からは出て来なかったんだな。」
リウとルマは、なんだか安心したような気持ちになった。しかし、安心するにはまだ早いだろう。一つの事象が確定しない限り。
「…七不思議は、下記に生息する。」
リウとルマの心臓が、ドクドク鳴る。一つの事象が、確定するところだ。
「職員室、3ー1組、中庭、家庭科室、2ー3組、理科室…。そして…。」
「…。」
「…。」
「…。」
「…。」
「…。」
「…。」
「…いや、最後はどこ!?」
沈黙がしばらく続き、リウの方から突っ込んでしまった。
「…屋上。」
リウとルマは、一気に体の力が抜けた。図書室に出てこないなら、ここは安置となるからだ。
「以下、七不思議の名前、そして、解説を記す。」
リウは、構えた。
・腕無し教師
生息地 職員室
過去に、この学校で教師をやっていた男がいた。この男は、とても内気な性格で、仕事などにおいてのミスなどが多いことから、他の教師には、陰口を叩かれていた。そして、ある日、その男は、自身の机がむちゃくちゃに荒らされていた。パソコンは壊され、引き出しは荒らされていた。男は、それを見て、なにもかもが嫌になった。そして、理科の授業で用いていた大ハサミで、自分の腕を…。それ以降、夜には、その男の怨霊が現れ…。大バサミを持って、出会った相手に襲いかかってくるという。
リウは、身の毛がよだった。あまりにも恐ろしい話である。
「…リウ、他の知りたい?」
ルマは、一応確認をとる。
「…いや、今はいいよ。ところで、その…腕無し教師だっけ。弱点は…?どうしたら封印できるの…?」
リウに言われ、ルマははっとした。
「ああ、弱点か、待てよ…。」
ルマは、ページを漁っていく。
「…なになに。腕無し教師は、生前に、とても仲の悪い教師がいた。そして奇しくも、彼の机を荒らした犯人は、その仲の悪かった教師だと言われている。そして、この腕無し教師は、その仲の悪かった教師の名前を、3回叫ぶと、退治できると言われている。」
リウは、一気に希望を持ち、その教師の名前を求めた。
「そして、その教師の名は…。」
しかし、現実は甘くなかった。既に、この続きは破り捨てられていた。おそらく、七不思議が、破り捨てたのだろう。
「…くそ、これさえ分かれば、封印できるかもしれねえのに。」
リウは、一気に希望を失った。
「パキンッ!」
突然、図書室の窓ガラスの一つが、砕けた。
「…え、こ、今度は何…!?何なの…!?ねえ…!」
リウは、かなりのパニック症状に陥った。ガラスが割れたが、何者かが襲いかかってくることはなかった。
「落ち着け…!」
「…!」
突然、ルマは、リウを抱き締めた。リウは、ルマの抱擁の影響か、一気に体が暖かくなった感じがした。そして、リウの方も、ルマを包んだ。
「リウ、前だって、本来動かない足を、動かせるようになったじゃないか。話せるようにだってなったじゃないか。大丈夫だ。今回もきっとな。」
「…うん!」
二人は、覚悟を決め、戦うことを決心したのだった。
続く