(注意:続きものです)
三人がやってきたウルベア地下遺跡のある場所。大きな壁。
そこには、真新しい何らかの破壊工作を行った跡が残っていた。
「なんだ、これ?オレたちよりも先にここで何かやった奴がいるな」
マージンは、荷物を下ろし壁の方へと歩んでいき
壁の状態を確かめる。手でコンコン叩いたり、残っている
キズ跡などを入念にみている。
「この壁・・・俺の知る限り、触った事がない材質もので
出来ているな。」
「私は一度来たんですが、ここを破る事は出来ませんでした」
「そうだ、破れなかったって聞いたが、どうやったんだ?」
そうすると、マイカは急に恥ずかしがるような様子をみせ
「実は・・・いくつかの手段は用意して挑んだんですが、その全てが
ダメでした。そして最終手段的に攻撃呪文での破壊を試みた所、
壁そのものに”呪文が相殺”されました。」
それにマージンが驚く。
「壁そのものに!?・・・・相殺って言えば」
「手練れの賢者が使える呪文”マホステ”と似てるね。もしかしたら
この壁自体か材質に織り込まれているかもしれない」
「そうかもしれません。」
マイカはフツキの隣にやってくる。
「この状況下で”安全に突破する方法”が見つからなかったので、
今回、爆弾工作員として有名な”マージンさん”と共に
ご活躍される”フツキさん”にお声をかけさせていただいたのです」
「な~るほど、な!」
マージンは、驚きつつも作業は止めておらず、一通り
調査し終えてたのか、後ろに下がってきて
「どうやら特殊なのは、目の前の壁だけだ。周りの壁は
通ってきたものと同じだな」
「え、という事は・・・?」
マイカが、少し状況を飲み込めていない感じだったが
マージンはマフラーを少し下げて、笑みを浮かべて
「なんとかなりそうだぜ。相棒手伝ってくれ!」
「わかった。どうすればいい?」
「そうだな、コレをあの壁の周りに埋め込んで・・・」
と、しばらくの間爆弾の敷設作業が続いた。
☆
「スイッチ オンヌ!」
ガコッという音に合わせて閉鎖空間の中、爆発が起こる。
激しい爆音と振動が遺跡を揺らす。がその構造は爆発に
威力に耐え、様相を保っている。
そして時間差をあけ、何かが倒れる大きな音がした。
「よし」
マージンが口元を覆っていたマフラーを外す。
「上手くいきましたか?」
白いローブで口元を覆っていたマイカとフツキも出てくる。
「ちょっと待ってろ、確認してくる」
先に走っていく。少し間をおいて、
「計画通り・・・おーい、来てくれー!」
マージンが呼ぶ。二人も駆け寄ると壁が綺麗な
長方形で壊れており、それが奥に倒れていた。
倒れている壁の先には、通路が続いているが
真っ暗だった。
「こりゃ、先が見えない・・・フツキ、松明もって・・・」
「三重・照明呪文(ドライファハ・レミーラ)」
マイカが呪文を唱えると、手から3つの光の出現する。
「わ!なんだ、光が!」
マージンはびっくりする。その光は三人の周りを
浮遊するように、ユラユラと飛び回る。
「レミーラ、本来は”目眩まし”に使う初歩の呪文ですが
こう使えば、明かりになりますよ」
「なるほど・・・とりあいず前に進めそうだな」
マージンとフツキは自分達の持ってきた荷物をまとめた
あとに、マイカと共に奥へと進んでいった。
☆
しばらく作り出した光源をたよりに進んでいると
レミーラの光ではない、別の光が見えはじめる。
「お、明るくなってきたな」
「どうやら、目的の場所は近いかもしれません」
光に向かって進むと、開けた所に出る。そこは
壁に棚がつけられ、加えてたくさんの棚が所狭しと置かれ、
そこには本や資料が大量に納められていた。
「ここが機密図書庫。かつて入らせていただけた
”ジュレイダ連塔遺跡”の書庫を越える本と資料の数ね!」
とマイカは目を輝かせる。
それを横目にマージンとフツキは、入り口の近くに
荷物を下ろす
「おうーこれはすげぇ」
「厳重なあの扉に守られていただけはあるな」
マイカは、既にそこらじゅうを駆け足で周りながら、
色んな棚から、本を手にして集め回っては、
読んだりしていた。
「俺たちの雇い主は、本を読むのが好きらしいな・・・」
「そうだな・・・・・ん?」
とフツキが急に押し黙る。何かに気づいたように、
自分達の入ってきた入り口を見た後に、マージンに向かって
クイクイとして近くに引き寄せる。
自分の興味に従って、本を読むマイカをそのままにして
二人は入り口の方を見て
「どうやら、俺たちよりも先に壁を壊そうとした
先客のお出ましか・・・」
「どうする?・・・マイカさんを呼ぶ?」
「呼ぼう。足音の数が多い。場合よっては・・・」
そう話した時に
「ん・・・これ、”探していた本”」