これは蒼天のソウラの二次創作になります!執筆者の
独自解釈などが含まれます。そういった関連の事が苦手な方は
注意が必要です。それでも良い方は進んでください。
ーーー本編ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
冒険者たちが、魔神ダークドレアムから
かいりを救い出し、帰還してきた。
夢と現実の世界が入り交じる中、初めての救出者と
なった彼女。そして不可思議な世界について
少しでも情報を得られた事も大きかった。
☆
そんな頃、お城の一室と必要な道具を借り、
いつもの派手な戦闘装束から、職人のような服に
身を包み、戦士団の団長シャクラは自身の扱う
得物の手入れをしていた。
入念にかつ、繊細にギコギコと
砥石の上に刃を滑らせながら
「団長ーちょっといい?」
誰かに声をかけられる。”いいぞー”と作業の手を
休めずに言う。部屋の扉が開けられると、ソウラが
中へと入ってきた。
「おー、誰かと思えばここへ来る途中で、助けた
少年じゃないかのう」
「お城の人から、団長がここに居るって聞いてさ、
”また”手入れしているの?」
と、ソウラが聞いてくる。
「昨日は、魔王サンの軍勢とまたぶつかった
ばかりでのう。こうやってきちんとしておかんとな」
シャクラはそこで少し手を休め、ソウラに向く
「ところでお主…”また”と言ったが、ワシは今初めて
ここで作業をしているのだが、どこかであったかのう?」
「はっ!え!…その…なんて言うか…」
いきなり踏み込んだ質問をしてきた相手に焦る。
(あの時も団長…最後にオレの正体見破ってたモンな〜)
ソウラはそのまま、なんとか話をそらせようと
「……団長!…オレの事知ってる?」
「ほう?…変な返しをするのうー、まぁいいか。
ワシはお主の事”は”知らぬな」
そうして改めて、互いに自己紹介した。話はかわり
あの時の魔物に追われていた事に
「と言う訳でさ…修行も終わって帰ろうという時に、
この世界に来ちゃったんだ」
「なるほど、で…あの時たまたま、総司令殿たちと
一緒にお城へ向かう道中で、お主と妖精っ子らと会った訳かのう」
「そういえば、一緒に居た他のみんなはどうしてるんだ?」
「ワシと一緒に来た者は、今突入部隊さんらと協力しちょる
何人かは、一旦ルシナへ帰ったという所かのう」
そうして話は進んでいき、
「しかし、ゼタとアスキスはどこにいったかのう」
「二人とも見当たらないの?」
「うむ…あやつの面倒をよくみるセレンの話だと、昨日
近くの高台に一人で瞑想しにいくと言って、今も帰ってきておらぬし
アスキス…あいつも見当たらんのだ」
(二人が居ない…!?確か…オレが見てきた限りだと…)
ソウラが表情を暗くしていると、シャクラが突然背中を
バンバンバンと叩き、笑顔を見せる。
「だいーじょうぶじゃ、ゼタもアスキスもそう簡単に
どうにかはならん、いずれひょっこり帰ってくるかもしれん」
一番心配してるはずの男の言葉を聞いて、ソウラは
暗くなった表情をやめ、
「団長がそう言うなら…大丈夫だな」
「まぁ〜でもあっちの方はかなりじゃが心配かのう」
シャクラは少し上を見る
ソウラは察する、RPGで見てきたから分かる
団長の心配事、それは”魔王”の動向。
あの時でも幾重にも根回しこそしたが
結局、偽りの太陽が何者かに破壊された事で
各々が思い描いた事がすべて焼け落ち
多くの人の死を生んだ。
団長は自身の意志を継ぐ者を見定め、願いを託し
魔王のもとへとおもむき、魔王は
たった一人の家族と同志達を生き長らえ
させるために、離宮を海へと沈め、
残りわずかな命を団長との最後の戦いに注ぎ、
死力を尽くし互いに散っていた。
(この団長…まだこれから起こる事を知らない時の
団長なのかもしれないな…)
「ん?どうしたんじゃ?」
シャクラは、目を丸くしてソウラを
見る。
「いっ、いや!なんでもないよ!」
また不意をつかれて、驚いてしまい
返しがヘンになったと自分でも思ったが
今は、貴重な時間だからと考え、
ソウラは、シャクラの作業しているのを
見ながら、自分がこれまでしてきた
冒険譚を話していった。
続く