これは蒼天のソウラの二次創作になります。執筆者の独自解釈
などが含まれます。そういった関連の事が苦手な方は
注意が必要です。それでも良い方は進んでください。
ーーー本編ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おぅーい!城門をあけろー!!」
先頭のリザードマンが城門を見上げ声をあげる。
「なんだお前達!ここはイシュマリク様が治める
”イシュナーグ離宮”だぞ!」
城門の上の城壁の間から兵士長らしきオークが顔を出して返す。
「何を呆けた事をいっている!…俺たちはここから戦に出て
いったんだぞ!!早く開けろー!」
「今は、厳戒態勢中だ!許可なく開けることができない!」
と、城門の兵士達と隊列の兵士達とで言い争いの喧嘩が始まった。
「何をしておられるのですか!?」
異変を感じ、隊列の後ろから狛犬化したセリカがやってくる。
現場にたどりついた。
「セリカ様!城門を守るヤツらが、門を開けてくれないのです」
兵士の言葉を聞き、城門を見上げ、城壁から顔を覗かせた
オークをみつけると
「そこの方ー我々は、朝方ににここを発ち
戦って帰ってきたのですよ!なぜ入れてもらえないのですか!?」
今度はセリカが交渉を始めた。しかし一変した状況に
異変に沸き立つ城下町の住民たち、そして厳戒態勢との
おふれを受けているオーク達は頑なに城門をあけようとはしない。
話を続ける中、伝令のホークマンの報告を聞き、
狛犬に变化しやってきたライセンとゴオウの姿があった。
「まさか…イシュラース殿下の軍が帰ってきてるなんて
信じられねぇーぞ!」
「この目で確かめるまでは分からん」
二人の目に言い争いをしているオーク達の姿を
見つけた。
「お前達!…何をしておるのだ!」
「ら、ライセン様!?…なぜこちらに!?」
「伝令の者から既に話を聞いておる!我が軍を早く
城門を開け…中に入れんか!」
ライセンの凄まじい剣幕に押され、兵士長は
素っ頓狂な受け答えをしたあと、すぐに周りの兵士たちを
連れて城門をあける作業に取り掛かった。
その光景を見つつ、ゴオウの方に振り返ると
無言で城壁から何かを見つめ動かなかった。
「…ゴオウ?どうしたのだ?」
「下…見てみろ」
促され、ライセンは城壁の隙間から下を見ると
「なっ…!せ…セリカ!」
思わず声を出し驚く。そう自分たちはあの時
ヴェリナード軍に攻め立てられ、離宮への侵入を
許し、シュナを除いた同じ一族であるセリカと5匹の
その子どもたちを全員殺されていた。
「なぁ…俺らは、”夢”でも見てるのか?」
ゴオウはなおも静かな声で、続ける。
「わからぬ…いったい今、何が起こっているのだ」
☆
城門を開け、イシュラース率いる軍を離宮へ招き入れた。
ライセン・ゴオウは城壁から場所を移し、軍が集まる
広場へと足を運んだ。
周りでは兵士たちはそれぞれ、戦で傷だらけになった武器や
防具の手入れなどを始めていた。中には、あくびをした瞬間
足をつり、その場でコケるリザードマンも居た。
「ライセン様!ゴオウ様!」
人の姿になったセリカが二人の元へやってきた。
「お二方ともお怪我無くて何よりです」
改めて、その姿を目のあたりにした二人は互いに
顔を見合わせた後、
「へっ!俺がそう簡単に真の太陽(あいつら)に遅れをとるかよ!」
「セリカ…お主は大丈夫だったか?」
「はい!私はなんとも、殿下のおそばで戦っていましたので」
そうした会話をしていると、後ろから狛犬姿のシュナが
姿を現す。
「ライセン様!ゴオウ様!」
シュナの声を聞いたライセンは驚く。この状況下で
セリカとシュナ、記憶は無いものの親子が直接出会ったら
どうなるのだと…
「あら…後ろから声が…」
セリカが二人の後ろを見ようと顔をやると視界に狛犬の姿で
一生懸命走ってくるシュナの姿がハッキリと映る。その瞬間
「……!……あ…あぁぁあ」
突然何かを察したような表情をした後に、手で口を覆い
声をあげながら、崩れるように座り込んでしまう。
さらにその目には涙が浮かんでいた。
「おい!?…セリカ!…どうしたんだ!?」
「いえ…ゴ…オウ様、なん…でも…ありません。ただ…あの子…
を見たら…急に…。」
泣き崩れたセリカの元にライセンが駆け寄り、肩を持ち支える。
「ゴオウ…シュナの方を頼む」
「分かった…こっちは任せておけ」
「あの…そちらの方はいったいどうされたのですか?」
シュナは不思議そうな表情で、自分の前で泣き崩れる
相手の顔を伺おうとするが
「お前はこっちだ!…ライセンから頼まれた調査報告があるだろ?」
「は…え!?それはライセン様に…!」
ゴオウに抱えられ、状況が飲み込めないままその場から
連れ出されてしまった。
続く