これは蒼天のソウラの二次創作になります。執筆者の独自解釈
などが含まれます。そういった関連の事が苦手な方は
注意が必要です。それでも良い方は進んでください。
ーーー本編ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
城門から少し入った広場。ホークマンの伝令を聞いた
イシュラースやマリク、ライセン達が集まっていた。
その集まった視線の先にはオーガよりも大きな体に猫耳、しっぽ
歴戦の勇士の証たるいくつもの傷、そして背中には大きな剣が
あった。
「拙者、魔公王様をお助けするため、猫島から馳せ参じた
キャット・ギャレリオと申す者である!」
ギャレリオが名乗った後、その後ろから歩いて来るのは
青いドレスのような鎧に白い帽子。その帽子から長く伸びる赤い髪、
耳や背中にはウェディの特徴たるヒレがある少女。
イシュラースやマリク達が注目している事に対して
緊張してしまっているのか、もぞもぞして何も喋れない。
「…あっ、こちらのお方は…魔界の狛犬郷から加勢に来られた
姫君殿で”アズリア”様です!」
その言葉を聞いた時、イシュラースやセリカを除いた全員が
驚愕した。
「ななな!…なんで”姫様”と同じ名前なのですか!?」
シュナが目をまるくして、驚いたように口をあけて言う。
それに対してアズリアも恥ずかしそうに
「そ、そんな事…言われても、これがボクの…名前だもん」
「だが…どうして…姫と同じ名と似た容姿を…」
ライセンが話していると
「これは、姫が”RPG”をプレイする際に創作した姿だ」
マリクがアズリアの前に出てくる。目の前の見た目を
よく観察していると
「そうだ…身の回りの世話で一緒にいる際に、この容姿の
姫様を実際に見ていたんです」
シュナも思い出したように…アズリアの前に駆け寄る。
「若様が、俺たちの事を姫に教えるために何らかの作戦を
取るとは聞いていたが…そのなんだ、”ろーる…ぷれいんぐ…”が
そうだったんだな…」
「だが、私は”紋様”を使ってはいない。RPGをやる際
その体験に力を用いていたのだが、今は発動すら出来ない」
「力が使えていない…。では…この姫様はいったい!?」
シュナの報告から施設共々、魔博士と一緒に消えたはずのアズリア。
しかしマリクたちの目の前にウェディの姿をして帰ってきた。
本物の彼女が実際のRPGで扱っていた彼女がどうしてここにいるのか?
状況を照らし合わせるごとにその不可解さが大きく増していく
ばかりだった。
「あの…ボク、そろそろ休みたいんですが…」
マリクやシュナの対応を見て、アズリアも困り始めていた。
そこへ今まで状況を見守っていたイシュラースから
「ひとまず、その”ろーるぷれいんぐ”が何なのか僕らには
分からないが一度、休息を取るべきでは無いかな?」
と提案してきた。思案にふけっていたマリクも気がついて
周りの状況を見て、離宮の者も戦から戻ってきた者も
疲労感が出ており、全体に休息が必要だと感じられた。
見渡し終わった後、イシュラースを見て
「…父…う」
「こらこら…今の主は、君だ。マリク」
一瞬何かを言いかけたタイミングで、先手でイシュラースに
言われてしまった。
「……!…伝令の者はいるか!」
そういうと近くに居たホークマンやリザードマンが集まる。
「警戒段階をひとつ下げる。休息が必要な者には
十分な時間を与え、交代で離宮の警備にあたれ」
ハッ!と伝令を受けた者たちはすぐさま、散り散りになり
去っていった。
「陛下、そちらで必要なものはございますか?」
「助かるライセン。こちらは補給物資と今の離宮内の状況を
教えてもらえるかな?」
状況は分からないものの、マリクたち太陰の一族陣営は
ある者によって起こされた奇跡ともとれる状況が展開される
世界へ誘われた。
そして彼らが知らない所で、今も同じ世界の別の場所で抗う
ソウラ達。その運命の道が交差する未来もそう遠くないの
かもしれない。
おしまい