これは蒼天のソウラの二次創作になります。執筆者の
独自解釈などが含まれます。そういった関連の事が苦手な方は
注意が必要です。それでも良い方は進んでください。
ー本編ー
「おーい、俺はここだ!」
と、二人に聞こえるように大声でフツキは叫ぶ。
それに気づいた二人は、声を頼りに合流を果たす。
「ようやく会えたな、相棒”フッキー”」
マージンはとても嬉しそうに、フツキを見つめる。
「ちゃんと伝言を残したんだ。お前だったら、大丈夫だと
思っていたさ」
「ところで、今日の薬草摘みは終わったのですか?」
マイカの問いに対して、フツキは自分が背負いあげたカゴを
指さした。カゴの中には、山のように瑞々しい緑色を放つ草が
山のように積み込まれていた。
それを観察した上でマイカは、一人で摘んだものにしては
尋常じゃない量だと感じた。それについて聞こうとしたとき
「一人でやったにして、かなり多いように見えるが…
ずっと森の中で摘んでいたのか?」
マージンが先に、マイカの問おうとした事を言う。
「あぁ、二人もココへ来たという事は、村の惨状を
見てきたんだろ?」
フツキの言葉に、二人も相づちをうった。
しかしそれを差し引いても、その尋常ならざるほどの
薬草を採取する理由にはならないと…異常性も感じられた。
「フツキさん…カゴから溢れるほどの薬草を採取したとしても
村にまん延する流行り病に効果がなければ、意味がありません」
マイカが言うのも聞かずに、フツキはそのままぽつぽつと歩いていく。
「おーい…俺も手伝うぞ?」
そうマージンが声をかけると、フツキは少し離れたところで
歩を止め、そのまま振り向くことなく
「マージン…話した事、あったか? ”前のパートナー”の事」
「お、おう。少し話してくれた事あったな、フッキーと前に組んでいた
ドワーフの相棒の事だったか…」
それがどうしたんだ?とマージンが続けると
「俺の前のパートナーさ…”流行り病で亡くなったんだ”。
病でずっと苦しかったはずなのに、アイツ…自分が死ぬ直前の
最後まで言ってくれなかったんだ…。おかしな動きや言動とか
してるのは分かっていたのに、俺はアイツが重い病気に
かかってるなんてわからなかったんだ!」
フツキが肩を震わせながら話しているのが、マージンにも分かった。
そんな辛い事があったからこそ、マージンと出会うまで一人で活動して
いたんだと…
「では…その大量の薬草は、村のために…。」
「あぁ、村には今話したパートナーによく似てるドワーフの子供が
いるんだ。」
「おい、まさか…その子も…」
「…村で流行してる謎の病にかかっているんだ」
そう話したとき、陽はもう沈みかけていた。
「だが、病の詳しい部分は全く分かってないんだろ?」
「効かなかったとしても…少しでも苦しみを和らげられる薬草を
見つける事が出来れば、その子や村のやつらが楽にかもしれないから
採ってきているんだ!」
問いに対して、陽が落ち時間が無いのを感じたフツキは
少し乱暴な返事を返した。
「落ち着けよ…フッキー。急いだって仕方ないぞ?」
「とにかく村の皆さんを助けるために、一度ヴェリナードへ
行きませんか?…今、あそこには優秀な冒険者の方々が
集まっているんですよ」
マイカが提案したが、フツキは
「それでは…間に合わないんだ。薬草の場所を教えてくれる
薬師の話じゃ、流行り病に侵されたヤツらは、発症した後
長く持たない上に、特に子供にかかると進行が早いらしく
時間がないっていっていたんだ。」
告げられたその言葉に、二人は驚いた。
「だから…今、立ち止まってる時間ももったいないんだ。
この薬草を早く薬師に渡さなきゃいけないんだ…!先に帰るぞ!」
二人をおいて、フツキは早足で帰っていく。
「あっ!待ってください!」
続く