これは蒼天のソウラの二次創作になります。執筆者の
独自解釈などが含まれます。そういった関連の事が苦手な方は
注意が必要です。それでも良い方は進んでください。
ー本編ー
陽が落ち、完全に暗くなった頃に村に戻った三人は、
すぐに村長の家の隣に住んでいる薬師の家へ行った。
家の中は、様々な病気に関わるもの薬草・薬の調合方法が
かかれた蔵書など本がぎっしりといくつかある本棚に入れられ、
溢れた分は雑に散らばっていた。
さらに今は毎日のように薬草をすりつぶしたり、調合しているのか
すり鉢や薬品・材料が、机の上に無造作に置かれていた。
そこへ、ドサッと山のように薬草が詰め込まれたカゴを
フツキは置く。
「先生!…薬草持ってきたぞ!」
声をかけると、奥で本を開き真剣に読み物をしていた
オーガの老人がやってきた三人に気がつく。
「おお、ありがたい!これで今日の分の薬の調合と
病の治療研究の続きが出来る!」
とカゴに手をかけ、それを部屋の奥の自分の机近くまで持っていく。
「すまんのう…村の若い連中の手が足りなくて、手伝わせる事に
なってしまって…」
と、カゴからいくつかの薬草をすり鉢の中へ放り込み、他の材料を
チョロチョロいれ、すりつぶし始めた。
その間、フツキとマージンは老人の仕事を見て
マイカは蔵書の中にある本を手にとって読み始める。
力を込めて、汗をかき一生懸命薬草をすり潰す姿をみて
「すり潰すの…手伝いましょうか?」
とフツキは言う。が老人は、手を止めずににっこりとした
顔を見せて
「いやいや、これはワシの仕事じゃ…村を病から救えるのは
今のところワシだけじゃ。それよりも今日、調べて分かった新しい
薬草についてメモを書いておいた。それを見て、明日もとってきて
くれまいか?」
メモがおいてある机の方を指差し、フツキに教える。すぐに立ち上がり
机からメモを取り、それを少し読んだのち、折りたたんでポケットへ
しまった。
「おじいさんーここにある蔵書の何冊か。少し借りていっても
大丈夫でしょうか?」
とマイカが本をいくつか小脇にかかえていた。
「別に構わんよーだがここにあるのは薬や病に関わる本ばかりじゃぞ?
お嬢ちゃんには、少し難しいと思うが」
「大丈夫です〜」
とマイカの返しを聞いて、嬉しくなったのかカッカッカーと笑いながら、
薬草をすり続けた。そして三人は、そのまま老人の作業の妨げに
ならないように家を後にしていった。
時間はもうかなり経っており、不気味な空の色に
空高く黄色い月が綺麗に輝いていた。
「もう深夜近いところか…」
「あ、そういえば…お姉ちゃん達に外への捜索に出るって
伝えてなかった。」
「俺も当然だが、ここまで単独行動だったからな…誰にも伝えてないな」
そう二人が話していると、
「ちょっとついてきてくれ…」
と、フツキはたくさんの病人が詰める大きな建物へ二人を連れていった。
そして中へ入ることなく、建物をまわって窓を一つ一つ確認していき、
「ここだ」
静かな声で言うと、窓を覗くように二人に促す。フツキの示した窓を
覗くとそこには、小さく緑の体色が特徴的なドワーフの子供がベットに
寝かされていた。しかし他の村人同様に、熱にうなされているようで
とても辛そうな印象を受けた。
「フッキー、あの子か?昔のパートナーに似てる子って」
マージンが聞くと、頷く。マイカは苦しむ姿を目の当たりにして
悲しそうな声を漏らす。
しばらく見たのち、三人はドワーフの少年の元を離れていく。
先導をしていたフツキから
「頼みがあるんだ。明日の朝、二人は帰って…流行病を
食い止めれそうな人を連れてきてくれないか?」
マージンはそれに対して、”フッキーはどうするんだ?”と返す。
その問いに、フツキは先程ポケットにしまったメモを取り出し
見せながら
「俺は、明日も薬草を集める。アイツに似たあの子を
死なせる訳には行かないんだ…!」
「いや…俺も明日は集めるのを手伝おう。ヴェリナードへ
戻るなら、身軽な方がいいだろうからな」
マージンがマイカの方を向く。しかし彼女は、開いた本に
向かっていた。”マイカさん?”と声をかけると
「わああっ!…ご、ごめんなさい。お話聞いてませんでした」
と驚いて、焦ったような素振りを見せていた。そんなやりとりを
していると
「…ここだ。村長から使っていいって言われてる家は」
続く