これは蒼天のソウラの二次創作になります。執筆者の
独自解釈などが含まれます。そういった関連の事が苦手な方は
注意が必要です。それでも良い方は進んでください。
ー本編ー
「おい…この記録じゃ、この霊薬は作れないって事なんじゃ?」
マージンはちょっと不安になる。
「待って下さい…実は私…リンドウ先生から
【この世界の事】についてお話を伺っているんです。」
「それって…あの”エゴート”とか言う奴が死に際にいった
【悪夢の世界】だったよな?ここは」
「はい、現在の先生の見解だと今の世界は現実と夢とが
混ざった場所で厳密には、【悪夢の世界】というよりも
【夢の世界】という認識の方が近いかもしれないそうです」
その話はリンドウが、自身の弟子たちを悪夢から救いに
飛び出した時に自身でこの世界の異質な部分に触れ、
その後も観測を続け得られた見知から来たものである。
「じゃあ、仮にだが…【夢の世界】であるっていうなら、
生まれていないソイツも、この世界でなら…存在するかも
しれないっていう訳だな?」
フツキが言うと、マイカは短く”はい”と返した。
「荒唐無稽なお話だとは思いますが、可能性はゼロでは
無いかと思います」
そう話しを受けると、ようやく希望の兆しが見えてきたのか
フツキの険しかった表情が柔らかくなる。
「その霊薬が作れると言うのなら、明日薬師と村長の所へ
行って、情報収集するべきだな」
そうフツキが言い、是非を問うと二人は快く頷き
方針が定まった。そして三人はその日、寝床を分け合い
休息したのだった。
☆
次の日の朝。
三人は、薬師に霊薬の事を伝えると大喜びしたのち、
”光の樹液”を保管するのに、丁度いい入れ物をもらい
村長の家を訪れていた。
今日も薬草を取りに出かけるはずの三人が
突然やってきた事に村長は驚いたが
霊薬の事を伝えると、とても嬉しそうに喜んだ。
「…と言う事は、それらを集める事が出来たのならば
この村は救われるという訳じゃな?」
「そうです。そこでお尋ねしたいのですが、
この辺りで”ウェナールウォーター”や”アサシンエミュー”に
関わる事はご存知ありませんか?」
マイカの問いに対して、村長はムゥ…と目を閉じ
頭をかしげたりして少し唸った後、
「おお…そうじゃそうじゃ、…んーとウォーター?水じゃったか?
それなら恐らくワシら村の者が普段から利用してる”井戸の水”が
おそらくそうじゃろうて」
村長が言うには数十年前に、一つ前に掘り出した井戸の水が
枯渇してしまい、当時の村人総出で開拓した時に当てたもので
その水を利用するようになってから、作物はよく育ち
村人も丈夫に育つようになり病気にもかかりづらくなった程の
清らかな水らしい。
「…特にあの水や育てた作物で作ったシチューなぞ…
美味しかったのう」
「井戸水…と、ウォーターは…なんとかなりそうですね」
マイカは腰のポーチから手記と羽ペンを取り出し
メモをする。
「おっと…それでじゃが、アサシンエミューの方か…
フツキ殿が村を訪れる前に、薬草採取に向かっていた
若い者が何か変な集団を見たとは聞いたが…はてさて、
どうじゃったのう…。」
村長は、自分の記憶を探るが思い出せず
その間に日が徐々に上り始めるのを窓から見たフツキは
「ひとまず…俺たちは、”光の樹液”を取りに出かけます」
「おっと…!すまぬのう、思い出せなくて…おぬしらが
出かけた後に若い者から話は聞いておくから、安心して
いってまいれ」
「村長のお婆様、情報ありがとうございます!」
そういって三人は、村長の家をあとにし
「時間が惜しいから、ここからは走って行くぞ!」
フツキは走る構えを取り、マージンも続こうとした時
「待ってください!」
マイカが引き止める。
「足で走ったら、疲れてしまう上に時間がかかり過ぎます。
ここは私がお二人をホウキに乗せて飛びます!」
「お…おい、大丈夫なのか?」
フツキを一緒に探すようになってから、高い場所から
探す手段としてホウキに乗せてもらっていたマージンは、
度々マイカが荒息を立てる姿を見ていた。
本人いわく、ホウキでの移動はあまりやっておらず
世界を旅する意味でも、足での移動を好んでいたため
いつも使う呪文の魔力コントロールと違い、
ホウキの操作は慣れていないとの事だった。
「大丈夫です!任せてください!」
とマイカは自信満々に言う。早速ホウキを手元に
召喚すると、自分も含めて三人乗れるように
調整し、二人を乗せると
マイカの手にズッシと重さが強くかかった。
それに一瞬怯みそうになったが、すぐ立て直し
魔力を込めると、ブワッと浮き上がり
三人は、ヴァース大山林の方向に向かって行った。
続く