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天星の護りの手

アスカ

[アスカ]

キャラID
: FG906-006
種 族
: ウェディ
性 別
: 女
職 業
: 魔剣士
レベル
: 132

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アスカの冒険日誌

2020-12-06 20:15:30.0 テーマ:その他

あなたについていくと決めた日 〜その11〜

蒼天のソウラの共同二次創作になります。執筆者の
独自解釈などが含まれます。そういった関連の事が
苦手な方は注意が必要です。それでも良い方は進んでください。

ー本編ー

語りを最後まで聞いて貰えたことが嬉しかったのか、
上機嫌で見送る老婆に改めて礼を告げて今度こそ民家を後にする。

見上げれば、茜色に染まった空を、海鳥たちが気持ち良さそうに
飛び交っていた。

それまで村の中を行き来していた人影が、一人、また一人と
家の中へと消えてゆく。

もう少し他の住民にも話を聞いて回りたいところだが、
これ以上はあまり成果が望めそうにない。

それに、一度宿に戻ってロスウィードと情報交換もしておきたいところだ。

…そう考えると閉じた手帳をポーチへと仕舞い込み、
アスカは静かになった村の中を、宿目指して歩き出すのだった。



ついたてを壁際へと追いやった手狭な客室。

椅子代わりにしたベッドへと腰掛け、小さなテーブルを挟んで
向かい合った二人は、その日の調査結果について話していた。

「――と言う訳で、私の方は以上だ」

迷いに迷った結果。ロスウィードは海岸から森の奥で
発見したものについて、何一つ包み隠すことなくアスカに話すことにした。

始めこそ、今回の件について進展があったのでは?と
喜んでいたアスカだったが…話が進むにつれて明かされる凄惨な内容に、
幾分疲弊した表情を見せてしまう。

「村の近隣でそういったものが見つかった以上、常に警戒は怠らないで欲しい」

そこまで言って、ロスウィードはアスカの顔を窺った。

話の内容でやはりショックは受けたようだが、それでも冷静に
受け止め、彼女なりに情報を整理しようとしているようだ。

その様子に内心満足げに頷くと…

「それで。アスカ君の方は、何か手掛かりや情報はあったのかな?」

何の気なしに放ったその一言で、アスカは疲弊した表情を更に曇らせる。
「わ、私の方は、その… 村長さんから、聞いた話以上の情報… なくって…」

開いていた手帳を胸に抱いて自信無さげに俯くアスカの姿に、
困ったように銀髪をわしゃわしゃと掻き上げる。

そして、どうしたものかと少しだけ考え。

…ひょい。と、アスカが抱えていた革の手帳を指でつまんで奪い取った。
「先ほどちらりと見たが…」

ページを数枚捲る音が聞こえ、やがて止まる。

「君は、朝から晩まで村の中を歩き回り… 他愛ない話や、
他の者ならば気にも留めない些細なことまで、細かく観察しているな」

テーブルの上に開かれた状態で差し出されたページには、
今日一日歩き回った中でアスカが気付いたことや、
見聞きしたことが事細かに記されていた。

「す、すみません… き、気付いたら、村の日常ばかりで…
 こんなの、今回の件に関係なんて…ない、ですよね…」

――そんなどうでも良いことまで調べるな!このグズ!――

それはかつて、彼女が同じ隊のリーダーから投げ掛けられた言葉。

常に迅速な行動が求められ、二手、三手先を考える必要が
ある任務において、些細なことまで観察するアスカの行動は、
リーダーを始め、隊に所属する者たちを苛立たせた。

きっと今回も、どうでも良いことばかり書いてあるとか、
何の役にも立たないなどと言われてしまうのだろう。

散々な手応えだった試験の採点を待つ子供のように、
目をきゅっと瞑って上官からの言葉を待った。

手帳に記された内容を一字一句見落とさぬよう、ロスウィードが読み進める。
指先で文字をなぞり、気になる箇所は少し戻って再読。
時には小さく声に出して読み、一つ一つ内容を確認すると次のページへ。

丸一日という時間を掛け、丁寧に調べられた調査報告。
その全てを読み終え、ようやく顔を上げたロスウィードの目に映ったのは、
大粒の涙をポロポロと零すアスカの姿。

続く
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