これは蒼天のソウラの二次創作になります。執筆者の
独自解釈などが含まれます。そういった関連の事が苦手な方は
注意が必要です。それでも良い方は進んでください。
ー本編ー
マイカが切り開いたスキを縫い、二人が
襲ってきたエミュー達を無力化し、残った集団も、
いよいよ手下2匹とボスエミューのみとなった所
状況が一変する。3人の目の前に居たボスエミューたちが
悲鳴のような鳴き声を上げ、突然もがき始めた。
「なんだ…あいつら…」
「苦しんでいるのか…?」
二人が困惑していると…後ろから大声で
「お二人とも!離れて下さい!」
マイカが焦ったような表情をしながら火球呪文を
何発も撃ち出して来ていた。
考察の間を挟めない状況に驚きつつも二人は
言葉のままに、その場から飛び退き
もがき苦しむボスエミューたちへ火球が当たり、
爆炎を上げた。
「マイカさん…!突然どうしたんだ!」
フツキが説明を求めようとするが、
「警戒を緩めないで下さい!じゃないと…!」
変わらぬマイカの焦りの表情。今度は怯えたような声音も
入り混じっている事をフツキが把握した時
「フッキー!前をみろっ!」
マージンが声をあげ、フツキが前を見ると
巻き上げられた爆煙を突き破るように、ボスエミューたちが
飛び出して来た。
「まさか…あれは俺たちを追ってきた時の…!」
フツキが何かを思い出すように呟いた。
3人に向かってくるボスエミューたち。
しかし先程まで戦っていた姿とは全く違い、目が紫色に
光を放ち、体を覆うように紫色のオーラが纏われていた。
そう…ウェナ諸島を飲み込んだ霧、その本流にのり
自分たちや他の突入部隊のメンバーやその仲間たちを
しつこく追いかけて来た魔物の状態と同じだったのだ。
オーラを纏ったボスエミュー達は、暴風を巻き起こす
かのような激しい走りで、3人の周りを円を作るように囲む。
「動きが…見えない…!」
「霧の時の奴らと同じなら、受け止められないぞ!」
マージンが言うと、マイカが援護しようと
補助呪文を唱え始める。すると何かを察知したのか、
囲いの中でボスエミューの低い声が響く。
「危ない!」
フツキがマイカに向かって飛び込む。するとマイカの背後、囲いの中から
エミューが飛び出し蹴りかかって来た。攻撃は間一髪当たらず、二人は
そのまま転がる。
「…す、すいません。助かりました。」
「今のは読めた…。だが次、避けれるかわからないぞ…!」
「大丈夫か!?……走って、動きを読まさないなら…これでどうだ!」
再びマージンは、腰のポーチからメガボンバーを取り出し
導火線に火を灯したのち、囲いに向かって投げつける。
真っ直ぐ飛んでいくメガボンバーだったが、エミューの1体が
また飛び出すと、そのまま助走をつけたのちに、片足を天高く
あげたあとにサッカーボールを蹴る要領でそれを返して来た。
「「蹴り返してきた!?」」
仮に勇者と呼ばれるような冒険者や爆発物に手慣れた者であったとしても
やらないであろう奇天烈な瞬間にフツキとマイカの声が重なり合った。
マージンも予期しない反撃に驚きを隠せず、二人の方に向かって
逃げるように走り、滑り込み伏せる。
メガボンバーは3人の手前辺りで、導火線が全て焼ききれると
同時に、激しい爆音とオレンジ色の爆炎が一気に周りに広がり、
辺りの草原の植物を焼きながら砂煙を巻き起こした。
「はは…!さすが…俺、手製のメガボンバーだ!」
「関心してる場合ですか!?」
爆風に耐えながらマイカが、マージンツッコんでいると
ボスエミューの声が響く。しかし駆ける足音は聞こえるが
煙が巻き起こっており、位置が把握できない。
メガボンバーで巻き起こされたはずの爆煙だったの
だが、その煙はむしろ濃く黒くなっていく。
「敵は…!早く見つけないと…!」
マイカは立ち上がり、駆け出していってしまう。
「待て!一人じゃ危険だ!」
フツキが叫ぶが、その言葉が届かなかった。刻々と
悪い方へと状況が傾いていく中、立て続けに起こる予測が
追いつかない事に、マイカは完全に焦りの感情に思考が
飲み込まれていた。
一人で駆けていく少女を、フツキも
追うとしたが、それと入れ替わるように、
エミュー2匹が姿を現す。
「クソッ…!分断されたか!」
フツキの言葉に対して威嚇するように
鳴き声をあげ、二人に襲いかかる。
二人の状況を知ってか知らずか、
マイカは黒い霧の中を一人走り続ける。
「どこ!…どこにいるの!?」
そう声を上げ続けながら、走り抜けていく中で
突然、何か太いものを振り回すような音が
マイカの耳に届く。しかし焦りからか…気づくのが遅れ、
彼女の脇腹に強い衝撃が走った。
続く