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天星の護りの手

アスカ

[アスカ]

キャラID
: FG906-006
種 族
: ウェディ
性 別
: 女
職 業
: 魔剣士
レベル
: 132

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アスカの冒険日誌

2021-02-14 20:56:34.0 テーマ:その他

あなたについていくと決めた日 ~その15~

蒼天のソウラの共同二次創作になります。執筆者の
独自解釈などが含まれます。そういった関連の事が
苦手な方は注意が必要です。それでも良い方は進んでください。

ー本編ー

村の中央に位置する小さな広場。

少し汗ばむ陽射しの下で元気に遊んでいた子供たちが、
夕刻を報せる半鐘を聞くと各々の家へと足早に駆けてゆく。

誰も居なくなった広場で、茜色の空を眺めてぼんやりと考える。

――子供の悪戯から始まり、行方不明になった家畜やペット、村人、
そして村に立ち寄った旅人や冒険者。

浜辺に放置された漁船の残骸と、魔法が用いられたであろう
戦闘の痕跡。

他者を操る力を持った悪魔の伝承。

そして、この村を回った時から感じていた違和感。確証こそ
ないものの気掛かりなことが浮かび上がり、村長宅へと足を向ける。

「村長、ご在宅か?」

呼び掛けると同時に藁の暖簾を掻き分けると、
囲炉裏の傍らにいた老ウェディの男が顔を上げた。





「村長、協力…感謝する」

礼を告げて村長宅を後にすると、東の空に顔を
覗かせていたのは丸くて紅みを帯びた月。

見渡せばどの家も既に扉を固く閉ざしているようで、
外を出歩く者の姿もない。

気掛かりなことについて村長から話を聞いてはみたが、
未だ確証はない。だがそれでも、自身の推察が正しいのでは
ないかと言う結論に至る。

行動か、それとも様子見か。

どうしたものかと宵口の風に吹かれて迷っていると、
果たしてそれは向こうからやってきた。

「帰還しました。大尉」

何処か着られている感じのする鎖帷子。腰に携えた細剣に、
腕には小振りのバックラー。

明々と燃え盛る篝火に照らされて近付いてきたのは、
アスカ=バンデ・ヒルフェともう一人。

「あれ? グンジンのお兄ちゃん、わたしのおうちになにかごよう?」

アスカが手を引いているのは… 
否。どちらかと言えば、アスカの手を引いているのは、
村長宅や宿を案内してくれたウェディの少女。――村長の孫娘。

「用事ならもう……… いや、実は… 
ちょっと用を足そうとトイレを借りようと思ったんだが、
生憎村長はお休み中だったようでな…… あぁぁぁもう漏れそう!」

何とも冷ややかな視線のアスカと、若干引き攣った顔の少女。

だがそんなものは気にも留めず、アスカと少女の見ている前で
股間を押さえて、大袈裟に腰をくねくね、足をバタバタと動かし…

「え、お…お兄ちゃん大丈夫? うちのトイレ使っ――

「ダメ!もう漏れちゃう!」

挙句、泣きそうな顔でベルトの留め具を
その場でカチャカチャと外し始める。

「え!?ちょっと! お兄ちゃんちょっと!向こう!
向こうの木のかげで!」

「最低です大尉!」

「いいって言うまで向こう向いててえええええええ!!」

どうやら必死の叫びは聞き入れられたようで… 少女は両手で
顔を覆い、アスカは眉間に青筋を浮かべ、揃ってくるりと背を向けた。

「ふぃ~」とか、「間に合った~」などと声を出して演技を
続けながら… 左眼の眼帯を手早く外すと背中を向けた
二人を確認する。

疑いが確証へと変わった瞬間だった。

「………あー…スッキリしたぁ」

眼帯を戻すと、実に晴れやかな笑顔で二人の元へと急ぐロスウィード。

「お兄ちゃん… 今のはわたしもどうかと思うよ…」

「規律を重んずる軍人が、村の中で…その、立っ、立ち……最低です!!」

何とも最低な手段を使って彼が左眼で覗き見たのは、この世界の魔力。

結果としては、浜辺で見掛けた漁船の残骸で確認した魔力の残滓。
それに酷似したものが、クモの巣のようになって彼女たちの身体に
纏わり付いていた。

魅了。それは相手を支配し、意のままに操る術。

代表的なところで言えば悪魔族――中でもとりわけ、
サキュバスやインキュバスたち。その他、実体を持たない
エレメントと呼ばれる系統の魔物が得意とする術だ。

二人の状態を確認した後、“必要な物資調達の為、一度本国に戻る”と
アスカにそう伝えてロスウィードは足早に村を後にした。

“彼女たち”が動きやすい状況を作るために。
一連の事件に決着をつける為に

続く
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