これは蒼天のソウラの二次創作になります。執筆者の
独自解釈などが含まれます。そういった関連の事が苦手な方は
注意が必要です。それでも良い方は進んでください。
ー本編ー
「さて、最終段階だ」
挑発をしつつも、リルカとマイカが身動き一つとれない事を確認した男は、
今もまやかしの中にいるフツキに向かって
「村を救いたいか?」
フツキは何も答えなかった。反応がなかった事に少し驚いた男は、
少し考えるように間をおいたのち、閃いたようなしぐさをし、小さな咳をし
「いや、お前にはこう聞こう。“我の仲間”になれば、少年・・・・・
“昔救えなかった相棒”に会わせてやろう」
大男がそう言うと、フツキはゆっくりと顔を上げる。
その眼には先ほど男を襲った激情に駆られた時の光は無かった。
「俺は・・・」
フツキがそう呟き、何かを言おうとした時。男に向かって筒状のものが
投げ込まれる。同時に横からマージンが飛び出し、フツキをさらっていく。
「マージンさん!?……マイカッ!!」
状況を悟ったリルカが叫ぶ。意図をくみ取ったマイカも糸を持つ
片方の手を放し、それを男の前にある筒に向けて
「火球呪文(メラミ)ッ!」
炎の球が打ち出され、筒を破壊し、中からキーンという高音と眩い光
そして炎が辺りを包んだ。
男は突然の事で身構える事も出来ず後ろへ吹き飛ばされ、
近くの民家へ突っ込んでいった。
「フツキ!!大丈夫か!?」
と、マージンは問いかけるが男に絶望的な情景を見せられていた
フツキは錯乱しているのか
「俺は… アイツの仲間に…な…」
既に仲間になる事を受け入れようとしていた。
それに驚き、マージンはフツキの肩を持ち、揺さぶりながら
「ダメだ!それは…!」
「やめてくれ…!俺は”全て”を救うために…!」
「お前が行ったら…この後の”クエスト”はどうするんだ!」
マージンは言葉も聞かずに、男の元へ行こうとする
フツキを必死に引き止める。
「落ち着け!まだ間に合う!…フツキ!お前が全てを
なげうたなくても…!」
「何を言っているんだ!…もう間に合わない!あの凶暴化した
モンスターを止められないかもしれない!…薬を作る時間も無い
かもしれない!
この村も…
あの子も…
そして…“アイツ”も…
……“俺が犠牲になれば、救われるんだ!”」
そうフツキが言い放った時、マージンは強い力でフツキを引き戻して、
拳を握り、その頬にパンチを打ち込んだ。フツキはそれを受けて転がる。
「……いい加減にしろフツキ!いつものお前なら…そんな事は言わない!
それに…まだあきらめるな!!この村も…あの子…
”お前の相棒に似た子も救える!”」
その言葉に驚いた表情を見せて、マージンを見返した。
「それに…一人”ソロ”なんかじゃない。抱え込むな…今のフツキには
マージン”俺”もいるんだから、昔の大切な相棒”パートナー”…一緒に
救いに行こうぜ?」
マージンはフツキに歩み寄り、手を差し出した。その表情は
いつも見せる笑みとは違い、優しくそして暖かなものだった。
それを見たフツキは、一度深呼吸をする。そして思い返した。
自分がどうして村を救いたかったか?
どんな思いで居たか?
今まで手一杯で向き合えなかった自分と向き合う。
あの時、自分は相棒を救えなかった。
病に蝕まれていた事に気付けず、
何も出来なかった自分の不甲斐なさを
悲しんだ。
この村に流れ着き、自分の相棒と似た姿を
したドワーフの少年が病に苦しむのを見た時…
同じ事は繰り返さない…アイツと同じように
死なせない!
「……今度は”必ず救う”!だが…あんな手段
じゃない…!お前と一緒に!ボスエミューを止める!」
と、差し出された手を強く握り、マージンも頷いた後に
力強く引き上げ、フツキを支え立ち上がらせた。
互いの意思・状況確認し合っていると
ボスエミューを止め続けていたマイカから
「お二人ともー!!そろそろ私も…お姉ちゃんも限界です!!」
「呪文の効果が無くなってきたのか…腕の力が…」
二人の状況を表すように、徐々にズリズリとボスエミューが
少しずつ動き始めていく。
それを見たフツキとマージンは
「おう!…行けるか?相棒」
「いつでも…!」
マージンはナイフを持ち、フツキは右手にナイフと左手には
ピック状のものを数本に握り、 駆け出していった。
続く