これは蒼天のソウラの二次創作になります。執筆者の
独自解釈などが含まれます。そういった関連の事が苦手な方は
注意が必要です。それでも良い方は進んでください。
ー本編ー
マージンがホイミン王と話していた同じ頃、薬師の家で
「この本に従って…尻尾に含まれておる猛毒液に、ウォーター2
樹液1と混ぜ合わせて…丁寧にかき混ぜて………」
本に従い、材料を混ぜ合わせる薬師の手慣れた手さばきを
フツキ達が息を飲んで見守っていると、かき混ぜられていた液体が
突如として光り輝き始めた。
「まぶしっ!」
「おお!まさに本に描かれた絵の通りだ!……”しんぴの霊薬”完成じゃ!」
「これで…ようやく救われるんだな…!」
「おじい様、私…マージンさんや王様を読んでまいります!」
マイカが飛び出していき、それを見送るフツキも嬉しそうな表情を浮かべる。
薬師は完成した液体を丁寧に一つの小さな瓶に注ぎ、コルクで蓋をすると
「ほい、これを”あの子”に持っていきなされ…フツキ殿。」
「しかし…俺も他の方に配らなければ…」
「よいよい、後はわしらやお仲間さんら、王様殿たちで十分に
手が足りる。行ってお上げなさい。」
そういって薬師は、霊薬が入った小さな瓶をフツキに直接手渡した。
「ありがとう…届けにいってきます。」
その言葉にうんうんと、嬉しそうに頷き、家を後にしていくフツキを
見送っていった。
「さぁて〜久しぶりに忙しくなるのぅ」
と呟き、薬師は再び霊薬の制作に取り掛かる。
○
マイカが村中に、霊薬が出来た事を伝えると
動ける村人、マージンやホイミン王たちが率先して、
薬師の制作を手伝い、薬はどんどんと病にかかっている者たちへ
配れられていった。
忙しい中、マージンはフツキがいない事に気づく。
「おーい先生、そういえば…フッキーはどこへ行ったんだ?」
「フツキ殿なら、”あの子”の元へ行かせましたよ。
そもそもあの少年のために、尽力なさったんだからのぅ〜」
「なるほど…そうだな、あとで俺も顔出しに行くか…」
と、納得していると近くでマイカが瓶が大量に入った箱を
一人で持ち上げようとしていた。
「マージンさん!…ちょっと…手伝って下さい。
瓶が多すぎて…はこべ…」
「お…おい!倒れそうじゃ…って!あぶない!」
マージンが駆け出す。が間に合わないと思った時、横を
サッと抜ける人影が通り、マイカと倒しそうになった箱を支えた。
「ありが…お姉ちゃん!?」
そこにはリルカの姿があった。
「大丈夫か?…遅くなった…調査は無事に終わったよ」
「リルカさんないす…で、”あいつ”は?」
「あぁ調べにいったんだが、あの状況なら負傷してるはず
なんだけど、その痕跡どころか、もう姿も形もなかったよ…」
「なんだって?じゃあ…俺たちが見たあの男…幻かなんかだったと
でも言うのか?」
「わからないな…これはとりあえず、アスカに伝えておくか…」
「幻……まさかね…」
と、マイカはぽつりと呟いた。
○
薬師の家をあとにしたフツキは少年が今、どこで眠っているかを
村長に訪ね、少年がいる仮設の病室へとやってきていた。
フツキが入ってきたの察知したのか、毛布にくるまっていた
ドワーフの少年が体を起こす。
「エルフの…お兄さん、こんにちは…。しばらく…顔を見せて
くれなくて、寂しかったよ」
話した瞬間、激しく咳をし始める。フツキも驚いて、駆け寄り
背中をさすってあげる。
「ごめんな…キミの病気を治すために、あっちこっち出かけていたんだ」
「そうなんだ…それで、薬…出来たの?」
少年が尋ねると、手に持っていた瓶をフツキは差し出して見せる。
「あぁ…薬師の先生から、出来た薬はちゃんともらってきた。準備するから
待ってくれ。」
そう話して、フツキは少年が寝ているベットの隣にあった台に
置かれていたコップを取り、そこへ瓶に入っていた霊薬を注ぎいれる。
「よし、さぁ…これを飲んでくれ。」
「あ…ありがとう…いただきます…」
フツキからコップを受け取り、少年はそれを少しずつ
ゴクッゴクッ…と飲んでいき、それを飲み切る。
「うぐ…ちょっと甘いかなと思ったら…あとから苦いよー
………ん?」
霊薬の味について、話しだした瞬間…フツキが薬師の家で見た
ものと同じように、少年の体全体が強く光り、体中から紫の
霧のようなものが吹き出し…光に包まれ浄化されるように
消え去っていった。
続く