これは蒼天のソウラの二次創作になります。
執筆者の独自解釈などが含まれます。そういった関連の事が
苦手な方は注意が必要です。それでも良い方は進んでください。
ー本編ー
イシュナーグ離宮 〜正門側〜
砦の前には大砲を構えられ、攻撃を防ぐための防御柵や
簡素ながら進軍を妨害するための罠が多数仕掛けられていた。
そしてそこに控えているのは、戦えるもので
集められた規模数千人で構成された精鋭軍。
前線の先頭には、漆黒の馬に跨るイシュラースと
横に控えているイシュマリク。その後ろにセリカ・シュナ。
さらにコシー・フォルカといった本来入り交じる事が
叶わなかった者たちが勢揃いしていた。
「ヴェリナード軍を目視で確認!」
と、望遠鏡を覗き遠方を伺っていた兵士が声を上げる
「規模はどれ程かね?」
フォルカがすぐさま尋ねる。
「数は………約1万5千ほど、こちらを上回っているものと
思われます!」
兵士が言うと、マリクは軍を前に出るように指示をだし
共に前線へとあがっていった。イシュラースは、兵士から
望遠鏡を借り、敵の前線を伺う。
しばらく観察を続けているとその中に見知った顔を見つける。
「あれは…。」
「陛下、どうされましたか?」
と、イシュラースの近くに居たセリカが心配する。
「どうやら…”同じ事は繰り返される”ようだね」
と、言葉を聞いた時、セリカは驚いた。イシュラースは
その表情を見て
「セリカ…キミも気づいていたんだね。僕もさ…どういう訳か…
僕自身がこれからどうなるのか知っているんだ。だから
今のこの”状況”がどういう意味を持つか…」
「では…戦場にいるんですね…”あの方”が…」
「あぁ…これは、もしかしたら”あの時の戦い”を再現
しているのかもしれない。」
「そういう事でしたら…私も…」
イシュラースとセリカが話していると、
「あの…!何のお話をしているのですか?」
シュナが声をかけてきた。その声に二人は驚き
「おっと、すまない。」
そういった時に、海の方面では戦端が開かれたのか
爆音が正門まで鳴り響いていた。
「どうやら、あちらでも戦いが始まったらしいね」
望遠鏡を兵士に返すと、前線に出向いていた
リザードマンが駆けてきて、
「陛下!…こちらも間もなく、前線が敵軍に接敵します。
ご準備を!」
「分かった、すぐに行こう!」
イシュラースは、手綱を鳴らし馬を走らせる。
「シュナ!こちらも行きましょう!」
「はい!」
セリカ・シュナは走り出したのち、その姿を狛犬へと
变化させ、イシュラースへ追走していった。
前線では既に、ヴェリナード軍と太陰の一族側の兵士達が
入り交じるように戦いを繰り広げていた。
数の上では有利であるヴェリナードだったが…
「な、なんだこいつら!…見たことがないぞ!!わあああッ!」
突如として、光が集まり爆発が発生する。爆音と煙の前に
マリクの姿があった。
その光景を見ていた隊長らしき男。マリクが手練れだと認識し
大声で叫ぶ
「ヤツだ…!ヤツをまず倒せ!」
その指示に従い、マリクへ兵隊が殺到する。それに対してマリクは、
左手を構え
「……氷結呪文(ヒャダルコ)…!」
詠唱と同時に、突撃してくる兵たちに向けて数え切れないほどの
氷の矢を打ち放つ。猛烈な攻撃に突撃の勢いが削がれたのを確認した
マリクは
「コシー!フォルカ!…任せる!」
「「ハッ!」」
「逃がすな!追えッ!!」
隊長が叫ぶと、そこへ
「オマエ達ニ、何者モ傷ツケハ…サセナイ!」
と、コシーが最初に飛び込み、リザードマン特有の身体能力と
磨き上げた技で相手を翻弄する。攻撃しようと斬りかかる
ヴェリナード兵の武器を次々と手に持つソードブレイカーや体術で
破壊し、無力化していく。
武器を失った兵士たちも負けじとコシーに取り付こうと
飛びかかるが…
「優雅ではないね?それでは我らは止まらないぞ!」
フォルカがその兵を、目に止まらぬ速さで貫き倒していく。
「コシー殿とフォルカ殿に続けぇ!!」
太陰の一族の他の兵士たちも数に臆する事無く、
マリクの進軍を支援すべく戦い続ける。
戦局が、太陰の一族に有利に傾き始める中
後詰めでかけつけたイシュラース達。
「どうやら僕らに今の所、有利に働いているね」
「油断出来ません…”あの二人”はどこ…」
セリカが言いかけた時、空気を激しく叩くような音で
衝撃波と火柱が上がり、戦域を押していた太陰の兵士たちが
何十人も同時に吹き飛ばされる。
イシュラースの方を向き、憎しみを込め睨みつける二人が居た。
「僕の覇道も…そう上手くはいかないって言う訳だね…
いま会いたくなかったよ…キミに…」
続き