これは蒼天のソウラの二次創作になります。
執筆者の独自解釈などが含まれます。そういった関連の事が
苦手な方は注意が必要です。それでも良い方は進んでください。
―本編―
「要するに…ボクの場所を奪ばいに来たんだよね?それなら…
お前たちにもぼくのチカラをみせてあげるよ!」
トロルは大きなこん棒を振りかぶって、リルカ達に振り下ろした。
二人とも避けて!と言うリルカの声に3人はその場からバラバラに
避けた。こん棒の一撃は、凄まじく地面にヒビを入れていた。
「うーーーん、火球呪文”メラ”…!」
マイカが唱えるが、ボンッとその場で弾けた。突然の戦闘開始に
気持ちが落ち着いてなかったようで失敗してしまったようだった。
「マイカ〜!お養母さんの言葉思い出して〜!」
「う、うん…!」
アスカに言われて、マイカはおどおどしながらも深呼吸をする。
「アスカー!早くー!」
リルカは攻撃を避けながら、トロルに追いかけ回されていた。
アスカはそれを見て、走り出しトロルの後ろまで走ると
目をキュピーンと光らせ、手に持っていた剣でトロルの背中を
ツンツンいっぱい刺す。
「いて!いて!いたた!……痛いじゃないかー!このー!!」
トロルは振り返り、標的をアスカに切り替え
こん棒をブンブン振り回す。
アスカは走りながら、後ろを振り返る余裕を見せる。
意識が完全にアスカに向かってしまっているのか
同じように近づいてくるリルカに気づかずに
「こんしんぎりぃー!」
「ゲブッーー!!」
トロルの脳天に向かってリルカがジャンプし、振り下ろした大剣の腹が
クリティカルヒットし、そのまま前のめりになり、巨体で地面を削りながら
盛大に転ぶ。
「どうだー!あたしの一撃!」
「リルカお姉ちゃん、ナイスー!」
アスカとリルカは、ハイタッチする。
「これで、あの魔物も大人しくなるでしょ♪」
「うんうん!…お養母さんや町の大人のみんなにも
安心できるよね!」
二人が嬉しそうに、語り合っている中。
マイカは深呼吸に一生懸命になり過ぎて、
呪文でお姉ちゃんたちを応援しないと…!と思い至った時
二人の背後にトロルが目を光らせ…左手を突き出す構えを取っていた。
「お、お姉ちゃん達!…後ろ見て!!」
「「え?」」
そう言った時には、既に遅く。大きな左手で二人は突き飛ばされる。
マイカはその場から動けずに見守る事しか出来なかった。
「よぐもよぐも…ボクの頭を叩いたなー!お、お前達も同じように
してやるぅー!!」
トロルは目から涙を流しながら、こん棒を振り上げる。二人は
あまりの衝撃だったのか、気絶しており動くことがない。
マイカはこのままでは二人が大怪我か…もしくはそれ以上の事が
起こると分かり、二人の前へ行く。
「や、やめてー!」
トロルはそんな言葉を聞き入れずに、マイカごと叩こうと
こん棒をそのまま振り下ろした。
怖さのあまり、マイカは目を瞑った。どんな痛みが待っているか
一瞬、考えるが
ーーーその痛みは、ガンッと言う音ともに訪れなかった。
マイカが目を見開くと、そこには自分の方を向きながら
トロルが振り下ろしたこん棒を覇王の大剣で受け止めている男…
鍛え上げられたマイカよりも大きな体の上に
凱歌の鎧を全身に着込み、グレーブルーの色の
マントを羽織った人物
それは三姉妹の養父…”パテル”であった。
マイカはそれを見た途端、泣きながら
「お養父さぁぁん!」
「ただいま…マイカ、よく頑張ったな。…ここから大人の仕事だ。
あとは任せろ…!」
と笑顔で語りかけながら、こん棒を弾き上げ、体を後ろに倒し、
左肘をトロルのお腹に思いっきり叩き込む。
「うげぇ!」
トロルはよろめき、後ろへ後ずさっていく。それを確認し
パテルは茂みの方を見て
「マーテ!」
「はい!」
と、控えていたマーテを呼び出す。普段の質素な衣服とは違った
賢哲のころもと杖を身につけていた。
「マーテ、お前は気絶した二人とマイカを安全な場所に
連れて子どもたちを手当してやってくれ…ここは何とかする!」
「分かりました。くれぐれも無理だけはしないで下さいね。」
「お養父さん…頑張って…!」
「あぁ!」
もう一度笑顔でパテルは応えたあと、トロルの方を向き
マーテたちはその場を後にして行ったのだった。
その後、森からは泣きわめくような大声が響いたらしい。
続く