※この物語は、DQ10及び蒼天のソウラの二次創作です
~ヴェリナード王国駅構内~
そこは、名だたる冒険者や商人たちが次の列車を
今か今かと待ちわびていた。出会いと別れ、人と品物が
ひっきりなしに交差するこの場所にリルカとマイカは居た。
「まさか休みに呼び出されているとは、思わなかったな」
「何か事件とかあったのかな?」
二人がアスカの部屋に行くと置き手紙で軍の任務で
急に呼ばれていた事や明日まで戻ってくる事が出来ない
といった事が書き留められていた。
「まぁアスカには明日、ジュレットで購入したおみあげ
とか、巷で話題の”ジュレプリン”を買っていってやろう」
「それ良いね♪」
そうやって話していると、構内に大地の方舟がもうすぐ
来る事を知らせるメロディーが流れた。やがて、列車が
到着したのち、人と貨物の乗り換え載せ替えが
キビキビと行われた。
最後に駅員が、全ての必要な安全点検を終わらせて
口にホイッスルを持っていくと、聞き慣れた音が構内に
鳴り響き、列車もそれに答えるように汽笛を大きく鳴らし
力強く動力を車輪に伝え、走り出してジュレットの町を目指した。
☆
列車が走り出してから、しばらくした頃の事。
リルカはずっと車窓から流れる景色を眺め、マイカは
持ってきていた本を読み込んでいた。
すると二人が身に着けていたリングピアスが、突然に
鳴り始めた。
「わあっ!…なんだ、急にピアスが鳴り出しだぞ?」
「え、今近くにはリルカお姉ちゃんしかいないはずだよ?」
彼女たちの身に着けている”リングピアス”。マイカが
学んで身に着けた魔法の力が付与されて作られた特注品で、
これと同じものはこの世に3組しかないのである。
そしてその効果の一つに、”ピアス同士が一定範囲まで近づいたら
音で知らせる”というものだった。
「これが鳴る…という事は?」
そう話していると、進行方向側の車両の扉が
開き、二人が座る座席へ近づく者が現れる。
「ここに居たのね、二人とも」
声をかけてきたのは、いつもとは違った装いのアスカだった。
「アスカお姉ちゃん!なんでこの列車に乗ってるの!?」
マイカが問いかけると同時に、さらに後ろから冒険者と
変わらない装いはしているものの、明らかに雰囲気が違う
ウェディ数人もやってくる。
「少佐…ここまで異常なしです」
「そうですか、あなたたちはそのまま列車の最後尾まで
調査をお願いします。くれぐれも”気づかれない”ように」
アスカが言うと、ウェディ達は”ハッ!”と言い
そのまま周りの乗客を調べるようにして、歩いて行った。
「……で、何があったの?」
「実は、今日発車前にヴェリナードからこの列車の貨物に積まれた
金品や貴重な鉱石を奪いに襲うって予告があって、相手側の動きを
予測する余裕もないみたいでユナティ副団長から、今の兵士たちを
部下に付けられて列車に急いで乗ったの」
「ロスウィード大佐はどうしたの?」
「事態解決に動いてるけど、急な事だから手が回り切れてないみたい」
「じゃあ…この列車もしかしてあぶ…」
「きゃあああ!」
マイカが言った時、兵士たちが向かっていった
車両の方から爆発の音と振動、乗客の悲鳴が響いた。
「ぬあああ、魔物だ!魔物が現れたぞ!」
魔物と言うワードに、アスカはすぐに反応し
レイピアの柄に手をかけた状態で素早く駆け出していく
「マイカ、あたし達も行くぞ!」
「う、うん!!」
二人もそれぞれの武器を手に取って、アスカを
追いかけて行った。
☆
「これはいったい…!」
アスカがたどり着くと、車両の天井には穴が開き、
先行していた兵士たちも既に倒されており、
乗り合わせていた冒険者たちが商人や一般客を守るように
して魔物と戦っていた。
魔物は主に獣人のあらくれ者、山賊ウルフやシードックと
いった者たち数十匹で構成されていた。
「いつの間にこんなにも…!」
列車の中に潜んでいたとしても、見つけれない事が
不思議な程の数、その侵入経路や方法を予測しようとしたが
すぐにそれは打ち切られる。
「兵士さんッ!…この魔物たち、強いぞッ!…ぐあああ!」
戦っている冒険者が戦えない乗客たちをアスカの方へ逃がし、
対応するが、その隙を突かれて次々と倒されていく。
「貨物の扉はまだかぁー!?」
リーダー格らしき山賊ウルフが叫ぶ。その先には、
貨物列車の扉をハンマーやオノを使い叩いてる数匹のウルフがいた
「へい!アニキィ!もう少しで壊せやす!」
アスカは乗客たちが安全に逃げた事を確認すると
「待ちなさい!…そこは開けさせません!」
アスカは啖呵を切る。それに反応したウルフたちは
扉の破壊に回ってる者を残して、アスカに剣を向けられた。
続く