ある任務途中の夜、リルカとマイカは
街に帰ることが出来なくなり、野宿に最適な
場所で焚き火の火を起こし、持ってきていた
携帯食料を開けて温めていた。
「今日は、魔物を倒しきるまで時間かかりすぎたなぁ…」
「任務地の洞くつを出た途端に、大量のキラービーストに
囲まれるなんて思わなかったもんね」
「倒して数は減らしたけど、様子的に襲ってきた
奴らの住処だったかもしれないな…。」
リルカは温めている食料の様子を見て、腰のバックから
布でくるまれた細長いものと木製の器を出す。
「ご飯…出来た?」
「まだ掛かりそう…。軍で支給される食料って
どんな状況でも中身を保護する事を優先してるせいか
こうやって食べるまでに時間が掛かるのがいやだなぁ…」
「まず容器が頑丈すぎて、
火が通るのが遅いもんね…。
帰ったら、意見書出してみたほうが良いかもね」
マイカはいつの間にか本を開き、見やすくするために
自分の近くに呪文で光源も出現させていた。それを見た
リルカは、静かに背後に回ると
「この…おば、かぁー!」
マイカの頭に両手の中指を押し当て、グリグリする!
声にならない悲鳴を上げながら、なんとか外そうとするが
加減してるとは言え、オーガたる姉の力には勝てずに
お仕置きをひとしきりに受け終わると
「いっ……たぁー!いきなり何するのぉー!」
マイカは、目に涙をためながら睨む。そんな妹の
訴えに全く意を介さずに、食事の準備をしつつ
「こんな暗い夜に、目立つような事するんじゃないよ。
いくら魔物よけの仕掛けはしてあるといっても、完璧じゃ
ないんだからな」
リルカの言葉に、ほっぺは膨らますものの言い返す言葉が
見つからないのか、呪文で作り出した光源を消した。
「そう怒るなって、ほら…やっとご飯が出来たぞ」
リルカは木製の器に温めた容器の中身を盛り、
スプーンを添えて、マイカに手渡した。
香りに誘われて、膨らんでいたほっぺも緩んで
ゆっくりと食べ始めた。お腹が膨らみ始めた頃には
グリグリの事も忘れたかのように笑顔が溢れていた。
「ご飯食べ終わって、片付けとかしたらすぐに休むぞ。
明日の昼前にはヴェリナードに帰還したいからな」
「うん、分かった!」
そう話し合ったのち、二人は談笑を楽しみ
そのまま寝落ちていったのだった。
おしまい