※蒼天のソウラの二次創作です。実際のキャラの
掛け合いなどに違いがあるかもしれません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
華麗とも言える一連の状況変化に、アスカ達は追いつけない
まま、その場はあっという間に過ぎ去っていった。
「ふう…これで良かったかね?」
「ありがとうございます。これで終わりました。」
「ロスウィード大佐、君にはいつも動いてもらってばかりで
申し訳無い」
と、メルー公とロスウィードが話している横で、アスカ達は
本部司令確保のために飛び込んできたユナティを捕まえて
状況のあらましを聞いていた。
「…と言う訳で、この作戦は水面下でかなり前から準備が
進められていたんだ」
「そ、そんな大きな作戦でしたら、私にも声をかけてくれても…!」
「いや、アスカ。君はずっと前から本部司令に目をつけられていた。
今回のような作戦だと、こちらで守りきれない上、作戦を
見破られる可能性が高かったのだ。わかって欲しい。」
と、説明は受けたがアスカの顔はぷすっとしたものになり
ちょうどメルー公との話を終えたロスウィードの方へ駆け寄っていく。
「ど、どうしたんだ?アスカ…!」
「それが…!」
自分の思いを話そうとしたタイミングで、メルー公は
大きな咳払いをする。まだ何かあると察したアスカはすぐに
姿勢を正し、向き直った。
「ロスウィード大佐・アスカ少佐、リルカ君にマイカ君。
グランドタイタス号の事も含め今回はご苦労さま。そして
女王ディオーレやその友好関係にあるマルチナ嬢も守り抜いた事も
感謝する。」
「では、メルー公。私はこれで、この後”本部司令”殿の尋問に
副団長と立ち会わなくてはいけないので…」
そう言って、ロスウィードは部屋を後にしていった。アスカも
ついていこうとしたが、
「おっと、あとは任せておけば大丈夫だよ。…ところで、君たちは
最近、故郷には帰っているのかい?」
その問いに、アスカ達は互いに顔を見合った後に
首を横に振った。
「そうか…では良い機会だね。今回は心身ともに疲れてると思うから
休暇も兼ねて少しの間、故郷へ帰郷すると良いよ。」
と、メルー公が笑顔で言うと、アスカ達は嬉しそうに飛び上がった。
この後に本部司令逮捕の一報は、ヴェリナード軍内でも
大きな話題となり、緊急の会議や様々な手続きなど
軍内が非常に慌ただしくドタバタした一日となった。
○
〜レヴィヤット艦内〜
その数日後。アスカ達は休暇の申請を無事に提出し、
それぞれの仕事の引き継ぎや休暇の最終準備をしていた。
「えっーーと、確かここにあるはずなんだけど…。」
アスカは、潜水艦内で割り当てられている
自室にて箱や用具をひっくり返すような音を立て
荒々しくそこら中を引っ掻き回して何かを探していた。
構造上音がそれなりによく響く潜水艦内で、どこからか音を
聞きつけたのか、工具箱を手に持ったマルモが部屋を訪れた。
「アスカさん?…こちらで何をしているんですか?」
「あ、マルモさん♪…実は、ここに記録に使っている本を忘れてしまって
探していたんですよ〜」
「良かったら、私いま手が空いてますので、お手伝いしましょうか?」
工具箱を足元に置いて、部屋の中へと入ってくる。
「ありがとうございます!…本の色は…」
と、捜し物の特徴を言った後に二人で探していると、
すぐにマルモが「これかな?」と言う。アスカは
声のした方を向くと、その手には特徴に合致する本が
あった。
「ありがとうございます!それが探していた本です!」
「よかった〜力になれて嬉しいです♪」
マルモは本をアスカに渡した。すると部屋の入口を
ノックする音がなり、振り返ると手にトランシーバーの
ようなものを持って立つロスウィードが居た。
「アスカ、いま大丈夫か?」
「はい!大丈夫ですよ。…その手に持っているものは何でしょうか?」
「これは、長距離用の通信デバイスだ。軍で作られた試作品で
ちょっと借りてきたんだ。」
ロスウィードは、アスカに手渡した。マルモも
見た事があるようで使い方を教わった後に
「でも、なぜ急にこれを私に?」
「通信テストも兼ねてはいるが、アスカ達が休暇でこれから帰る
バンデクス島周辺の海域で最近、危ない噂を聞いててな…それは
”万が一の保険”と思ってくれ。それじゃ別件があるから行くぞ。
休暇、楽しんでこいよ〜」
と言い、ロスウィードはそのまま部屋を後にしていった。
〜続く〜